25 ページ25
『庄左衛門くん...ありがとう。でもね、学級のみんなとは、ずっと仲良くいるんだよ。』
志位と濔が、頭に浮かぶ。
手を握り返すと、庄左衛門は凛々しい眉をさらにキリッとさせ、はい！！と元気に返事をした。
『なんかごめんね、えっと、愚痴じゃなくて、楽しい出来事も教えてくれない？一年は組は、とても楽しそうに聞こえたから』
「！一年は組は、この間裏山に行って、みんなで木登りをして遊びました！」
「えっ、あ、一年い組は...みんなで、勉強をしました...」
『そっか、い組とは組って、全然違うのね。ろ組もあるんだっけ。個性的な一年生がたくさん入ってきたなぁ。』
笑顔を見せると、少し落ち込んでいた空気が軽くなる。一年生の表情も、柔らかくなった。
「A先輩も、寂しかったら遊びに来てください！は組はいつでも歓迎します！」
「い、い組にもぜひ！勉強を教えに来てください！」
『ふふwありがとう。寂しいときは、庄左衛門くんか彦四郎くんに声をかけるね』
「まずはい組に！」「いや、は組に！」とどこか張り合っている二人。しばらく口を噤んでいた鉢屋三郎も、頬杖をついて微笑ましく見ていた。
◇◇
「では、先輩方、失礼します。」
委員会の終了の鐘がなり、律儀に頭を下げ、1年生たちは長屋へ戻っていった。
その背中が見えなくなるまで手を振り、ふとあることが思い立つ。
『...あの、鉢屋くん』
「なんだ？」
『尾浜勘右衛門さんって、どこの委員会にいるんですか？』
ただ気になって、何気なく聞いただけだった。
「お前...勘右衛門に、会ったのか？」
だからそんなに、神妙な面持ちをするとは微塵も思っていなかった。
突如流れる空気が変わり、冷たくなる。
「...尾浜勘右衛門は、”まだ”なんだ。まだ順番じゃない」
なんだろう、まだって。
「だから...尾浜勘右衛門のことは、もう忘れろ。あれは、まだ関わってはいけない。」
肩を掴まれ、目を見開く私と対照に目を鋭くさせる彼と見つめ合う。
目を逸らせば受け入れたように思われそうで、泳ぐ目を隠せなかった。
忘れろって、私達は出会ってはいけない存在だったの？なんであなたは知っていて、私は知ることができないの？ねぇ...
折れて顔を逸らす。俯く私を、鉢屋三郎はどんな顔で見ているだろう。ただただ、寂しさが増していく。
「...明日、街へ行くぞ」
『...え？』
「極秘忍務だ。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 381人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「忍たま」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
もち米マン(プロフ) - コメント失礼します！お話し面白くてスラスラ読めます！19,20話が抜けていますがミスでしょうか？確認お願いいたします(..) (9月9日 21時) (
レス) id: 483e70a4e0 (このIDを非表示/違反報告)
ねう。(プロフ) - 待って最推し、、めちゃめちゃ心臓にキて好きです…最高に私得すぎる。。更新楽しみにしてます、！ (8月24日 3時) (レス) @page12 id: dee5bda7f0 (このIDを非表示/違反報告)
勘ちゃんに食べられたいお菓子🍡 - 更新頑張って下さい!!!!!正直に言えば夢主ちゃん以外のオリキャラがいなければええな〜って思いました！まぁ、それを無視して読んでます。アンチではないのでご安心を!!!!!!これからも暇さえあれば読んどきます！ (2023年2月12日 0時) (レス) @page34 id: 5ad601e96f (このIDを非表示/違反報告)
シュモくん(プロフ) - 小桜さんすみません( > < *)՞՞確認不足でした！ありがとうございます。 (2022年11月5日 19時) (レス) @page23 id: b925ba0735 (このIDを非表示/違反報告)
小桜(プロフ) - １９ページの数馬くんの説明(？)のところ、保健が保険になってます。一応、お伝えしときます！ (2022年10月16日 23時) (レス) @page19 id: 8b4a915ba2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：シュモ | 作成日時：2022年8月10日 15時
