尾浜くんに妥協されました！

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「...」

カポーンと言う音がなりそうなこの場所。そう、お風呂。

八左ヱ門は浴槽に手をかけ、黄昏れるようにさっき起きたことを思い出す。


大笑いする顔、真っ青な顔、冷たい怒り顔、悲しそうな顔、恥じらう顔。1日であんなに表情を引き出せるなんて思わなかった。

お互いの芯をひけらかしたおかげか、距離が縮まったことだろう。

とは言え、悪いことをした。完ぺきに俺が悪い。


はぁ...とため息をついていると、誰かが湯船に入ってチャプっと水面が揺れた。


「どうした八左ヱ門、課題駄目だったのか？」

「勘右衛門からアドバイス貰ってたよね？失敗した？」

「三郎、雷蔵。」

入ってきたのは、同じ組の双忍、鉢屋三郎と不破雷蔵だった。


「んー...課題は大丈夫だったんだけど、人間関係でやらかして...」

「委員会か？仲良さそうだったけどな。」

「やっぱり、委員長代理は大変なの？」

「うーん...委員会っていうか...」


的を外した質問に、頭をひねる。二人には言うべきなのだろうか...


「大方、くのいちと喧嘩したんだろ。今日から手伝うって聞いてたからな。」


悩みを当てられ、誰かと思い上を向くと、戦犯の勘右衛門。

アドバイスをくれたのはありがたいかったが、それが悩みの種になったことを知っているのだろうか。


「そう言えば、図書委員会にも来たよ。気だるげだったんだけど、物覚えが良くて、いい子だよ。
本にも興味を待ってくれたみたい。」

「火薬委員会にも来たよ。ちょっと危なっかしいけど、ちゃんと話を聞く子だったな。」

いつの間にか久々知兵助も便乗して、お手伝いくのいちについて話し出す。

二人の委員会は上手くいっていたようで、改めて自分が惨めになる。


「...実は俺、初対面のくのいちの子を怒らせて、課題済ませたんだ。だから、申し訳なくて...」

いたたまれなくなり、ついに白状すると、皆、苦笑いだった。


「...まじかよ。それは無いぞ八左ヱ門。」

「その子が可哀想だよ。初対面で悪口いうのは。」


シーンとなったかと思えば、自分に集中砲火。またがりがりとメンタルが削られる。


「完璧に八左ヱ門が悪い。だよね、勘右衛門。...勘右衛門？」

兵助にまで...と思っていると、視線が自分から他に移る。

ずっと黙っていた戦犯は、風呂なのに冷や汗を流していた。


するとそこで、俺は閃いた。

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