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A
ここまで大きな会場で
観客を目の前にしてパフォーマンスするのは初めてだ
真っ暗な中、ステージの定位置に立つ
ペンライトが眩しかった
自分でも萎縮しているのが分かる
でも照明が私たちを照らし、曲が流れて
大歓声を聞いた途端そんなこと忘れた
AからアーティストのGRACEに変わった瞬間だった
ピタッと決まった
割れんばかりの歓声
私を呼ぶ声の方にファンサを送る
裏にはけるギリギリまで
ファンに感謝を伝えたくて声は届かないって分かっているけど
ありがとう
って言いながら手を振った
裏ではたくさんのスタッフがあたたかい拍手と褒め言葉をかけてくれた
奥に進みながら一人一人に感謝の言葉を口にした
最近ではもうすっかり馴染みの顔になったPDが迎えてくれた
え、来てくれたの、、、
マメな人だとは思っていたけど
わざわざ足を運んでくれるなんて、
PD「いやー、最高だったよ!さっきのステージ!」
ここまでは聞き取れたが興奮しているせいか
早口で話すからまだ韓国語に不慣れな私は分からなかったが
カムサハムニダとメンバーと声を揃えてお礼を言うと
あっ、そうだと思い出したように言い
後ろのスタッフから花束を受け取り
私たち一人一人に差し出した
うわぁ、
会う度によくプレゼントをくれる人ではあったが
このタイミングで花束をくれるなんてセンス良すぎ
感激し過ぎてハグをして
お礼を言った
PD「My pleasure」(どういたしまして)
【直訳:私の喜び】
そう言って照れるように鼻の頭をかいた
談笑していたい所だったが
いつ私たちの間に入って声をかけるべきか迷っているスタッフを気遣ってか
PDの方から話を切り上げるように
お別れの言葉と
この後いいステージばかりだろうから楽しんでと
この音楽祭に慣れない私たちを
気にかける言葉を残して去って行った
後ろ姿を見送った後
花束は回収され
スタッフの誘導で
観客席から丸見えの
出演者用の席に移動した
韓国の文化なのか分からないが
前を通るアーティストたちに挨拶
もしくは前を通る事の謝罪かもしれないが
ペコペコとヘドバンかと思うほど頭を上下に揺らす
これにはもう慣れてきた
メンバーに続き
後ろの席に座った
自分の後に何万人もいる
気を緩めることを許さない環境で鑑賞するとは、、、
落ち着かない気持ちになったが
そんな私に気づいたメンバーが
大丈夫と言うように手を握った
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作者名:むみょん | 作成日時:2019年8月6日 0時