ポートマフィアの飼い犬ですが何か？

裏事情22 ページ23

「…ところで。あなたたちがこの店にいたのは何かの会合ですか？」


「ここにいたら太宰がいただけだ。」


『私も、鬱憤ばらしに飲もうと思ったら2人がいた。』


「今夜ここにきたら…君たちに会えるような気がしてね。」


見かけがよけりゃ台詞もイケメンだなぁ…


「僕たちに用事があったのですか？」


「別に無いよ。ただ…そうしたらいつもの夜になると思っただけさ。それだけ。」


カランッ


太宰がカップを持ち上げた。



『なにに乾杯すんのさ。』


「なんでもいいさ。理由なんて欲しく無い。」


「…ストレイドッグに…」


…面白い。乗ってやるか。


カランッ


「「『ストレイドッグに。』」」


あ。そうだ。いいこと思い付いた。



『ねぇ安吾。その鞄の中にカメラってある？』


「え？ああ。はい。仕事用ですが。」


『写真撮ろうよ。記念にさ。』


「記念かい？」


「何の記念だ？」


『ここに4人が集えた記念。』


「？いつも4人で飲んでるじゃ無いか。」


「…ふっ。情報を流されるのだけは御免ですからね。」





「かっこよく撮ってよ〜？このアングルが男前に取れる。」


『どこだって大して変わんねーよ。』


カシャッ


_____太宰治。能力名「人間失格。」



「僕はいいですよ。」


『そう言わずに。』


カシャッ


_____坂口安吾。能力名「堕落論。」



「お。」


『可愛い織田作。』


カシャッ


_____織田作之助。能力名「天衣無縫。」



「ここら辺かな？」


「ちゃんと女性らしくしてくださいね。」


「いい感じだ。」


『いいからさっさと撮って！』



カシャッ


_____水無月A。能力名「ご主人様の仰せのままに。」



「なぜ急に写真なんか…」


『…そうしないとこうやって私たちが集まった事実が消えてしまう気がしたんだ。』


「織田作。A。カメラ。」


カシャッ







その日が本当に私たちが集まって写真を撮る最後の日になった。


この4人のうちの誰かが「死んだ」からだ。

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