tune.43 ページ43
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「‥‥何で、そんな話を私にしたんですか」
彼の性格上、私みたいな「ぽっと出」の人間には絶対に教えないだろう。
隣から足音が消えた。
振り返ると、瀬名さんが威嚇するような目で私を見ている。
「王さまを傷つけたら、許さないから」
サファイアブルーの瞳に、燃え盛るような紅を見た。
普段浴びるように感じている殺意に慣れていても若干気圧される勢いで、思わず半歩後ずさる。
「‥‥肝に、命じます」
ふん、と瀬名さんは鼻を鳴らして歩き出した。
その後の沈黙はどこか重くて、けれど破ろうとは思わなかった。この空気になるきっかけを作ったのは私で、それを取り払おうとするのは違う気がした。
しかし意外にも、それは瀬名さんの言葉で終わった。
「あんたの性格は最悪だけど、別にそれが全てじゃないでしょ」
「‥‥と、言うと?」
「少なくとも俺が今まで見てきたあんたは、才能があるやつを嫌ってるって部分に目を瞑れば特に糾弾すべきものじゃない」
「‥‥何ですか、それ。もしかして慰めてくれてます?」
「馬鹿じゃないの、何で俺があんたの機嫌取りなんかしなきゃいけないのさ」
だろうな、とは思ったが、敢えて疑問を口にしてみれば、いつも通りの口調で悪態が返ってきた。
意図を掴み損ねて内心首を捻る。
「俺に話さなければ“ただのイイコ”でいられたのに、何で話したわけ」
なるほど、その疑問に繋がるのか、と一人納得する。適当に誤魔化せばよかったでしょ、わざわざ俺の好感度下げるようなことする意味がわからない、ということだ。
「Knights護衛のためには、瀬名先輩は優先的に突破すべき壁だと思ってるので」
「はぁ?」
「あなたに誤解されたままだと今後の任務に差し障ります」
けろっとして言った。本当のことだ。
「“信頼”されなくても“信用”くらいはしていただかないと、何かあったときに困ります」
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…!! (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです!続きがとても楽しみです! (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです!更新楽しみにしております! (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…!のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:夏向 | 作成日時:2021年3月31日 16時