tune.12 ページ12
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「さて、そろそろ本題に入ってもよろしいですか？」
「そうだね、話が色々と脱線してしまった」
鞄から資料を取り出す。学院内外での近界民に関する情報と、トリオン計測の調査票。後者に関しては昨晩渡されたもので、あまりにもギリギリで開発室の人手不足を憂いた。
「まず‥‥アイドル科を中心に防衛する、ということでいいのかな？」
「はい。先週からボーダーが各学科に機器を設置してトリオン量の計測をさせていただきましたが、その値が他科よりも圧倒的でして。アイドル科生徒全員の平均が高いのか、1人もしくは数人がずば抜けて高いのかはわかりませんが」
「トリオン‥‥？って、何ですか？」
衣更真緒が遠慮がちに尋ねる。そうかそこからか、と自分の配慮のなさを少し責めつつ、トリオンについてざっくりと説明をする。ボーダー外の人間はトリオンについて知らないのが当たり前だ。ここにいる一人の例外を除いて。
彼らはトリオン器官なるものに興味津々である。見えない臓器、なんて確かに好奇心を掻き立てるだろう。
「近界民は基本、トリオンを目的に“こちら側”に侵攻してきます。ですので、トリオン量の多い人間は必然的に近界民に狙われやすくなるわけです」
「‥‥えーっと、つまり、近界民が出てくる要素がアイドル科にあるかもしれないってこと？」
「あるかもしれない、というより、ある、ですね」
姫宮桃李が目に見えて怯えるのを、伏見弓弦は 坊ちゃま、と気遣っている。この話を聞いたら恐ろしくなるのは当たり前だ。だからこそ、私が派遣されたのだ。
「個々人のトリオン量を計測してみないことには対策の立てようがありません。私としては、全体を守るのか、特定人物を護衛するのかの方針を決めたいところですね」
「アイドル科は結構な生徒数だけど、大丈夫？」
「ええ、ですので、生徒会を含め職員の方々にも協力を要請しています。
具体的に何かしていただく必要はありません。アイドル科内を移動する際はこれを持ち歩いていただくだけです」
これ、と掲げたものは、ピンマイクに扮した簡易的なトリオン計測器だ。小型カメラがついており、映る人物のトリオン量を自動で測定する。一定以上の値であれば、顔写真と共に保存され、連携ソフトが入っているパソコンに情報が送信される。この任務のためにわざわざ冬島さんが開発してくれたのだ。本人は息抜きだと言っていた。
アイドル科は他科と完全に分断されているようだし、これが一番効率がいい。
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります！！ (2021年5月16日 22時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…！！ (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです！続きがとても楽しみです！ (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです！更新楽しみにしております！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…！のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2021年3月31日 16時
