ContrasT【あんスタ！】【WT】

tune.2 ページ2

·


「‥‥ぶっちゃけ最近のアイドル興味ない」

思わず零した本音に、何で？と米屋が首を傾げた。
あまり人が行き交う街中で言うことでもないため、内緒、とだけ返した。

「興味ないって言ってもさ、一般常識として名前と顔くらいは知っといたほうがいいんじゃねーの‥‥」

出水が少し呆れつつ言った。確かにそれは間違いではないが、その情報に触れる機会が無かったのだから仕方がない。
その旨を伝えれば、「A普段何してんの‥‥？」と心底疑問だと言いたげに。

「学校、訓練、任務、勉強、食事、風呂、寝る」

ざっくりと生活サイクルを教えれば、「なんて女子高生らしくない日常」と若干引かれた。失礼なやつらである。

「おまえはもうちょっと世間に興味を持てよ」と米屋が余計なアドバイス。アイドルの情報を仕入れてボーダーの仕事に役立つなら話は別だが、期待できるわけがなかろう。

「そんなことしてる暇あったらログ見るよ」

「スキマ時間にちょっと芸能ニュース見るとかでもいいからさぁ。友達増えねーぞ」

「余計なお世話です！！」

出水の脇腹を軽くどつけば、声にならない声を上げた。
確かに私は友人が多くないが、別にいないわけでもない。ボーダー外の友人もちゃんといる。ただ、波長の合う人間が少ないだけだ。私はどうも、俗に言う「陽キャ」属性の女子とはペースが合わないようだった。

次から次へと転換する話題、今流行りのコスメやらファッションやらで着飾り自分磨きを怠らない女子。着いていけないだけではない。ボーダーで違う意味での「自分磨き」をしなければいけないということもあり、そっち方面の話題にはとんと疎かった。

「私には余計なことしてる暇はないの。それは3人だって知ってるでしょ」

「ホントストイックだよねA先輩‥‥。もう十分強いじゃん」

「実力の上で胡座かいてたらあっという間に墜ちるよ。特に私みたいな凡才(・・)はね」

ほら早く本部行くよ、と歩き出すと、3人は溜息をつきながらそれに合わせる。
おまえは凡才なんかじゃねーよ、という米屋の言葉は、否定も肯定もせずに留めた。


·

tune.3→←tune.1

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す