tune.40 ページ40
·
「───なに、あんた、まだ残ってたのぉ？」
欠伸を噛み殺して練習室の最終チェックをしていると、帰ったはずの瀬名さんが顔を覗かせた。Knightsの他のメンバーはレッスン終了後、解散の合図と共に帰宅した。レオさんだけは「インスピレーションが湧いてきたぞ！」とどこかへ走って行ったが。
「瀬名先輩こそ、もう帰ったと思ってました」
「スマホ忘れて取りに来たの。そしたらまだ電気点いてたから。おかしいとは思ったんだよねぇ」
だらだら何してたのさ、という言葉に、まぁちょっといろいろと、と返す。プロデューサー業務について少し先生に聞きたいことがあったのだ。それだけなので、別に言うほどのことでもない。
「ま、あんたが何してようが興味ないけどねぇ。ほら早くしなよ」
「？」
「ああもう、言わなきゃわかんないわけ？ 時間が遅いから駅まで送るって言ってんの。どうせ一人なんでしょ」
あんたに何かあったらうちの王さま達を守る人がいなくなるでしょ、とか何とかぶつぶつ言っている。
ボーダーの戦闘員は強いと思われがちだ。実際トリガーを使えば、不審者の一人や二人簡単に倒せるだろう。しかし一般人にはトリガーの使用は禁止されている。
その辺の事情を知らない人は、戦闘員だから、トリガーがあるから大丈夫でしょ、と思っている節がある。けれど、瀬名さんは私を「男の力の前ではどうにもならない普通の女子高生」として扱ってくれているようだった。
「すみません、ありがとうございます」
「別にお礼を言われるようなことはしてないから」
つんとそっぽを向いてしまうが、瀬名さんがどういう人かはなんとなく掴んでいる。
彼にばれないよう、密かに笑みを溢した。
·
「あんた最近、王さま連れ回してるんだって？」
「字面だけだと誤解を生むようですが、レオ先輩に頼まれて、ですよ」
なんか私のイメージソング作るらしいです、と補足する。
瀬名さんは一瞬、はぁ？という感じの顔をしてから、考え込むように視線を宙に向けた。そして、深々と溜息を吐き出す。
「‥‥え、えぇと、なにか‥‥？」
「最近さぁ、王さまが渡してくる曲の傾向が偏ってるんだよね」
「‥‥偏ってる、とは」
「あの人、なんか知らないけど恋愛ソングばっかり作ってんの」
は？と声が飛び出そうになるのを抑える。恋愛ソング？
別にレオさんがどんな曲を作ろうが彼の自由だが、なぜそれを私を詰るかのような声音で言うのか。
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夏向(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます。めちゃくちゃ原動力になります！！ (2021年5月16日 22時) (
レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - れいゆふさん» ありがとうございます。そういったコメントを頂けると作者冥利に尽きます…！！ (2021年5月16日 22時) (レス) id: d3650b90b8 (このIDを非表示/違反報告)
りん - とても面白かったです！続きがとても楽しみです！ (2021年5月16日 15時) (レス) id: 5a0e3d3105 (このIDを非表示/違反報告)
れいゆふ(プロフ) - めっちゃ好きです！更新楽しみにしております！ (2021年5月12日 3時) (レス) id: e48528e707 (このIDを非表示/違反報告)
夏向(プロフ) - 星宙*°さん» ありがとうございます。感想めちゃくちゃ嬉しいです…！のんびり更新の上どこまで続くかわかりませんが、最後までお付き合い頂ければ幸いです^^ (2021年5月11日 22時) (レス) id: fd39a6918d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏向 | 作成日時：2021年3月31日 16時
