俺様何様赤司様。【赤司征十郎】

vol.35 ページ35

仕事帰り、私は迎えにきた車には乗らず
トボトボと街を歩いていた。







あんな事を言われて…帰れるわけないよ。


あれ……なんか、最近涙腺緩いな……








頬を伝う涙を拭きながら歩みは徐々に遅くなって……立ち止まった。









家に帰りたくないほど嫌なら……出ていけって
言ってくれればいいのにさ……



泣いたってどうにもならないのに、涙は止まらなくて







” 泣け ”







いつかそう言ってくれた彼の顔が、頭から離れなくて




彼が結婚すると聞けば胸が苦しくて





彼に触れられると無性にドキドキして









まさかね、って思ったけれど……

たった２日…会えないだけでこれだもん。







私の存在は、彼の人生を壊してしまう。

彼みたいな俺様で横暴なのに有能で、たまに優しい人に恋するなんて、最悪だ







嫌いだった。あんな人……








なのに、会いたくて仕方なくて……



もう会えないの、なんて思うと涙は一層量を増して息が苦しいほどだった









いつの間に、こんなに好きになってたのかな









自分の過去を呪った……。




百合丘さんに、言われて何も言えなかった








全て本当のことだったから……









でも……









『……っ、好、き』









？『それは俺に言ってるのか？』









道行く人の中で、呟いた一言。

頭上から聞こえた声にハッと顔を上げた









赤『俺は、君のそんな泣き顔は好きじゃないな』





『……っ！、社…長…』









来い、と手を引いたその人はよく知ってる。





俺様で横暴で……会いたかった人だった







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