*4話 私にとって天元さんは* ページ4
らしくない。感情を露わにするだなんて。
いつもならば無表情でやり過ごせたはずだ。
全力で表情を変える善逸を見てたら、なんだか感情を隠すのに拘るのが馬鹿らしくなってしまった。
はぁ…と溜め息をつくと、肩を叩かれた。
「地味に溜め息なんかついて。幸せが逃げてくぞ」
「天元さん」
「任務でなんかあったのか?」
「…」
『もっと自分を大事にして。自分を傷つけないで。約束!』
ふわりと笑う善逸の顔が頭からずっと離れない。
初めてだった。私の体を気遣ってもらったの。
稀血を使って鬼を狩ることについて、天元さんになにか言われたことはない。
ただ、生きて欲しいと…お前が大事だから死なないでくれと言われたことはある。
その時、不思議に思うと同時にとても嬉しかったのを覚えている。
くのいちが命を張るのは当然のこと。
その当然を否定されて、どうすればいいか分からなかった。
でも、先に天元さんの嫁いでいた雛鶴さん達はそれを当たり前のこととしている。
正直、未だに私は自分が命を張るべきなのかそうでないのか分からない。
「天元さんは私が死んだら悲しいですか?」
思わず口から零れたその言葉に、ハッとして口を塞ぐ。
天元さんは目をぱちくりさせると、ふっと微笑んだ。
そして、私の頭をくしゃくしゃと撫でた。
大きくて温かい手。乱暴ではあるが、その手つきは優しい。
「死なせねぇよ。お前は…Aは俺の大事な嫁だからな。絶対に守ってやる」
「…ありがとうございます」
天元さんは優しい。普通の家庭に生まれていたら、私の兄も天元さんみたいな感じだったのかな。
288人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
纈 - とても好きです!これからどう話が動くのか楽しみにしています!更新頑張ってください! (2020年1月24日 16時) (レス) id: 2584a19f5a (このIDを非表示/違反報告)
ami☆(プロフ) - おもちさん» コメントありがとうございます…! 健気な善逸、好みです…! これからも読んでくださると嬉しいです! (2020年1月23日 21時) (レス) id: 8fb5979ada (このIDを非表示/違反報告)
おもち - コメント失礼します!善逸くんが健気で可愛いです!! (2020年1月23日 21時) (レス) id: 203d84a786 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ami☆ | 作成日時:2020年1月23日 11時