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小鳥の
松陽の声を子守歌代わりにAは小舟を漕いでいると、足音と人の気配が近付いてきた。
眼だけをそちらに向けると、竹垣の向こうに高杉が立っていた。こちらをじっと見つめていて、その瞳はどこか無機質で。
暫く様子を見ていると、どこかで見た子供たちが彼に近付く。
気がそちらに向いている間にAは足音を立てずにそちらへ向かった。
「――身分をわきまえず我ら武士を愚弄するからこうなる。お前も奴も、ここにもう居場所はない。高杉、お前はもう侍になんてなれんよ」
「誰がそれを決めるの?」
「うわ!!? 誰だお前!!」
突然現れたAに、その場に居合わせた全員が驚き目を見開いた。
高杉を庇うようにして立つAは子供たちを静かに見つめる。子供たちは堪らず逃げ出してしまった。
「……悪ィ」
「なんで?」
「あんなことしたら、お前、どうなるか……」
「別にいいよ。所詮私たちは――」
そう言って口を閉ざすA。それ以来何も言わなくなってしまい、高杉は戸惑った。
高杉は何か言おうと口を開いた時だった。こちらを見たAが柔らかく微笑む。
――――こいつ、こんなふうに……。
「それじゃあ帰り、気をつけてね」一瞬だけ笑みを浮かべたAは、高杉に背を向けて塾の敷地内に姿を消してしまった。
桂が言っていた。吉田松陽のような、自由な侍になりたいと。
それなら、自分は?
――――誰がそれを決めるの?
Aの瞳が子供たちを射抜く。まるで、冗談でも言うな、と訴えるように。
高杉の眼が再び塾に向く。講武館にはない楽しそうな声、飛び交う話し声、拳骨の音。
「ここに来れたら、楽しいんだろうな……――」
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ルアルア(プロフ) - 無影灯さん» コメントありがとうございます!更新が遅くお待たせしてしまうことも多いかと思いますが、これからも応援していただけると嬉しいです! (2020年3月29日 17時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
無影灯(プロフ) - 見入っちゃいました…とても素敵なお話でした!更新応援してます! (2020年3月23日 21時) (レス) id: 26d889b496 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - 神月さん» コメントありがとうございます!ありがたいお言葉本当に感謝します...相変わらずの低浮上ですが、読者様のお言葉を励みに頑張ってまいります!! (2018年8月30日 10時) (レス) id: 61b26fbf84 (このIDを非表示/違反報告)
神月(プロフ) - 読み応えがすごくあります!次の話がとても気になります!面白いです!作者様のペースで、更新頑張ってくださいね。応援してます! (2018年8月27日 6時) (レス) id: 52a5891399 (このIDを非表示/違反報告)
ルアルア(プロフ) - ginさん» コメントありがとうございます! 更新は相変わらず遅いですが、面白いと思っていただけるような作品を目指して頑張って行きます! (2018年7月8日 9時) (レス) id: 013413cedf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ルアルア | 作成日時:2018年4月7日 3時