恋は現在進行形。 ページ6
「教室戻りたくない…。」
僕は、生徒会室のすみにうずくまった。
真っ赤でほてった顔を隠すように、体操座りをして太ももの間に頭をうずめる。
こんなに僕が拒否反応を示しているのは、さっき、幼馴染のAに告白したから。
「告白」といっても普通の方法じゃない。
Aが「英語教えて!」と言ってきたのをいいことに、テスト問題で告白する、なんて不思議なことをしてしまった。
恥ずかしい。
―――
〈問一〉次の問いかけに対し、英語で返事をしなさい。ただし、素直にAの本当の気持ちを回答すること。
(1)Mafuyu: Actually, I have loved you since many years ago. How about you?
(2)Mafuyu: I promise that I always make you happy! Could you become my girlfriend?
―――
A英語苦手だから、読めるかどうかは分からないけど…。
でも、この二週間なんだかんだ言って真面目に勉強したから、きっと読めるはず。
僕は、幼稚園のときからAと一緒にいた。
だから、僕たちの関係は、一般的に幼馴染とか腐れ縁とかいう風に表現されるんだろう。
僕は、小さいときから、ずっとAのことが好きだった。
幼稚園で意地悪されたとき、助けてくれたこと。
小学校で友達が出来なくて泣いていたとき、慰めてくれたこと。
中学校でいじめられたとき、Aだけが気づいて声をあげてくれたこと。
僕のほとんどの記憶には、Aがいる。
高校生になってすぐ「留学しようと思ってるんだ」って打ち明けたとき、Aは珍しく目を見開いて、動揺を隠しきれてない表情になってたっけ。
綺麗なまんまるの黒目が細かく揺れていて、「びっくりした、」なんて言っていた。
もちろん英語の勉強はしたかったし、アメリカにはずっと興味があったから、昔から留学したいなあとは漠然と考えていたんだ。
でもほんとはね。
Aとそろそろ離れなきゃ、って思ったんだ。
このままだと、Aへの恋心が限界になりそうだった。
今までは必死に隠していたけど、そろそろボロが出そうで怖かった。
Aは、僕のこと、単なる幼馴染くらいにしか思ってないんだろう。
今まではそれでもよかった。
だって、「幼馴染」っていうのは、なかなかに得なポジションだから。
男女でも仲良くしていい理由になるし、僕みたいに片思いをしてても自然に一緒になれるし。
だから、それを壊したくなかったんだ。
僕は怖がりだから。いくじなしだから。
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ちょこ - かのこゆりさん» いえいえ、おかえりなさいです!コーヒーのお話、切なくてよかったです!また、コーヒーの違ったエンドや、コーヒーのまふくんsideも欲しいです! (2020年9月19日 10時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます!返信遅くなってしまいすみません。実は受験生でして、受験勉強に集中するため活動休止していました。無事合格通知が届いたので、まもなく執筆再開予定です!気長に待っていただけると幸いです〜! (2019年12月25日 11時) (レス) id: fcfa2aebad (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます!戻ってきてください!続き楽しみに待ってます!あとコーヒーの方のまふぃくんさお殿お話も!(´;ω;`) (2019年12月5日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます!すごく嬉しいです…。この作品は、キーワード(「喫茶店」など)を交換しお話を書く、という一風変わったコラボになっております。実はあと2作品分のキーワードを頂いていて、現在執筆中です!気長に待っていただければ幸いです! (2019年10月26日 23時) (レス) id: a6d1b02f5a (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 好きです!続き待ってます! (2019年10月24日 20時) (レス) id: 25fb5b2d6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かのこゆり | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kanokoyuri/
作成日時:2019年10月3日 23時