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大学生・大学院生だった頃は、「通勤ラッシュの電車に乗るとか意味わかんない！？」って、意地でも乗るか！と思ってた。どうにか回避することに執念を燃やしてた。
だから、社会人になって、笑顔でこの電車に乗ってる自分に正直びっくりしてる。
そこまで忌み嫌っていた満員電車に、懲りずに毎日乗り込んでしまうのは、名前も知らないあの子をひと目見たいから。
最初はミスを連発して怒られてばかりだったのに、最近はなんだか調子がいいのは、きっとあの子を拝んでいるからだと思ってる。
ドラマでイケメン俳優さんを見つめると、少し肌つやが良くなった気がするし元気になる、あの現象と同じじゃないかな。
名前も学年も住んでいる場所も知らない。
好きな食べ物もいつも聴いている音楽も彼女がいるのかも知らない。
私が知っているのは、
県内で知らない人はいないくらいの名門高校に通っていること、
秀才しかいないような環境の中で、成績優秀者に選ばれるくらい勉強ができること、
必ず、７時１１分発の各駅停車に、私の二つ次の駅から乗ってくること、
数学の参考書を読むとき、何かを懐かしむように、少しだけ目を細めること。
もはやストーカーなんじゃないかってドキドキすることもあるけど、朝の満員電車で元気な姿を見かけただけで、悩みとか不安が吹っ飛んでいってしまうのが清々しくて、ついつい探してしまう。
「まもなく、――駅、――駅、お降りの際は…」
上司と同僚と同じくらいに聞き慣れた声が、もうすぐ駅に到着することを告げる。
じわじわと全身に力がかかる。
慣性の法則に負けるな、がんばれ私の身体。
流れていく景色が、ゆっくりになって、色鮮やかになって、少しずつ輪郭がはっきりして、止まる。
ドアが開くのと同時に、たくさんの人が吐き出されて、たくさんの人が吸い込まれる。
呼吸の様子が目に見えたらこんな感じなんだろうなあ。
人がうごめくホームを見ていると、虫か魚の群れみたいで少し気持ちが悪いから、視線を反対側に移す。
そのとき、空気が一変したのが分かった。
思わず振り返る。
大声でべちゃべちゃと会話をしながら、奇抜な格好をした若者が三人乗り込んでくる。
たまにいるんだ、チャラそうだったりヤンキーっぽくて怖そうだったりする若者。
周りの大人たちも、緊張した空気を放ったのはほんの一瞬で、すぐ安堵したように自分の世界へ戻っていく。
都会の大人たちは慣れているから。
私も、ふっと安堵の息をこぼした。
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ちょこ - かのこゆりさん» いえいえ、おかえりなさいです！コーヒーのお話、切なくてよかったです！また、コーヒーの違ったエンドや、コーヒーのまふくんsideも欲しいです！ (2020年9月19日 10時) (
レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり(プロフ) - ちょこさん» コメントありがとうございます！返信遅くなってしまいすみません。実は受験生でして、受験勉強に集中するため活動休止していました。無事合格通知が届いたので、まもなく執筆再開予定です！気長に待っていただけると幸いです〜！ (2019年12月25日 11時) (レス) id: fcfa2aebad (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！あとコーヒーの方のまふぃくんさお殿お話も！(´;ω;｀) (2019年12月5日 20時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
かのこゆり(プロフ) - ともさん» コメントありがとうございます！すごく嬉しいです…。この作品は、キーワード（「喫茶店」など）を交換しお話を書く、という一風変わったコラボになっております。実はあと2作品分のキーワードを頂いていて、現在執筆中です！気長に待っていただければ幸いです！ (2019年10月26日 23時) (レス) id: a6d1b02f5a (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - 好きです！続き待ってます！ (2019年10月24日 20時) (レス) id: 25fb5b2d6d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かのこゆり | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kanokoyuri/
作成日時：2019年10月3日 23時
