【あんスタ】夜行少女【逆先夏目】 (ページ42)

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3章　小さな世界( 8 ) ページ42

薬を飲み、ベッドに横になった私。

彼が私を起こし、薬を飲むまで少しどたばたとしてしまったけどやっとゆっくり出来そう。

少し疲れた私がふぅ、と息を吐けば夏目くんが布団を優しくなでてくれる。
…疲れたのは、半分くらい彼のせいなのだけれど。

「随分振り回しちゃったネ、野良猫ちゃんは病人なのニ。野良猫ちゃんの反応が面白くてつイ、揶揄っちゃったナ……零にいさんに怒られちゃいそうだヨ。」

「う……い、いいよ。お世話してもらってるのは私だし。…そういえば、零と夏目くんって知り合いだったんだね。同じ学校だから知り合いなのは当然かもだけど…どうして夏目くんは零の事をにいさんって付けて呼ぶの？」

彼に色々聞けそうなタイミングがやってきたので、私はまず零の事から聞く事にした。

夏目くんは零の事を零にいさん、と呼んでいたので仲良しなのかもしれない。

そうして返答を待っていると夜中の零を思い出させる表情で、夏目くんが口を開く。

「………大事なにいさんだからだヨ。勿論ボクと零にいさんは血が繋がってる訳でも無いけド、ボクを沢山可愛がってくれていたからネ。」

「……そう、なんだ。」

そう、答えることしか今の私には出来なかった。
夏目くんの言葉も、夜中に聞いた零の言葉も、どちらも何処か哀しそうだったから。

…私が踏み込んでいい領域では、ないんだ、きっと。

そう判断した私はそれ以上話を深掘りする事をやめ、別の質問を聞く事にする。

「あ、それと、私が魘されてた時夏目くんが起こしてくれたけど、どうして私の家に入ってこれたの…？家には鍵を掛けてた筈なのに、」

「あア、それなら零にいさんが合鍵を渡してくれたんだヨ。……どうして零にいさんが野良猫ちゃんの家の合鍵を持ってるのかボクには分からないけド。」

いや、それは私も知らなかった。

なんで私の家の合鍵を持っているんだろう？？勝手に作ったのだろうか。

確かに何度か零や凛月を呼んでお茶会をしたりはしていたが、見知らぬ間に鍵を作られていたとか、………そんな事にも気付かなかった私はやっぱりポンコツだ。

思わず苦笑いになりつつも納得はする。どちらにせよ、その合鍵が無ければ私はあのまま夢で魘されていたままだったのだろうし、その点だけは感謝したいなと思った。

…でも、今度本人にもどうして合鍵を作ったのか聞かなければ。

……きっと私を心配してくれた故の行動だと、思う。………そう信じたい。