【あんスタ】夜行少女【逆先夏目】 (ページ38)

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少女の夢( 5 ) ページ38

(流血表現が出ます、ご注意下さい。)

そんなわたしの願いも虚しく、

びりり、びりびり。

わたしの着ていた、小さなワンピースがナイフで裂かれる。

晒された素肌が、この人にはどう映っているのかなんて、もう考えられない。

喉を枯らす勢いでわたしが叫んでも、そんなの何でもないような顔で、この人はナイフでわたしの服を、刻んでいく。

気付けば、ワンピースをそがれて、シャツも剥ぎとられ、わたしは下着一枚だけに、なっていた。

「嗚呼………すごく、君は綺麗だね♡いい肌をしているし……ここを流れる血液は、それは美しい色なんだろうね………♡♡♡」

「いやだあっっっ！！！さわらないで！！！はなして！！！こわいよお！！！いや！！いやあぁぁっ！！！！」

「叫んだって、誰も助けて何てくれないよ？……言っただろう、僕のお菓子を食べた君は、もう僕の物なんだって♡」

お腹を黒ずくめの人に手で撫でられながら、ナイフが近付いてくる。

いやだ、どうして、どうして。

わたし、ただお菓子を食べただけなのに。

すると、お腹をに感じたのは、ナイフの冷たさ。

つぷり、ケーキにナイフが入るみたいに入れられて、すーっと、線が引かれる。

……溢れたのは、ストロベリーソースでもなく、わたしの血だった。

切られた場所からじくじくと痛みが広がる、いたい、いたい、いたい、いたい、いたい。

こんなの、しんじゃう。

「あ、ぁぁぁぁぁ……………いた、いたい………いた、いよぉ…………っ、う、うぅ……ゃ、やだぁ…いたい、いたいよぉ…………」

わたしはただただ、泣くしかなかった。
あふれる涙が止まらないし、血も、止まらない。

痛いのだ、切られた場所が。溢れる血が。

痛くて、怖くて、苦しくて、悲しくて、辛くて。

なのに目の前の黒ずくめの人は、楽しそうにわたしの肌を、切り開いていく。

わたしはこのまま、ばらばらにされてお菓子の材料にされてしまうんだ。

お腹から流れる血を見詰めながら、気付けば口の中に入っていた飴もなくなっていた。

飴みたいに、きっとわたしもなくなっちゃうんだ。

全てから逃げたくて、この人からも、ここからも。目の前から聞こえる愉快そうな笑い声も。

なにももう、みたくない。

わたしはぎゅっと、瞼を閉じた。