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3章 小さな世界( 1 ) ページ32

「………39.0℃。…完全に風邪じゃの、Aちゃん。」



「ううう…………さいあく…まあ、わかってたけど………」



「だから昨日、俺がAの事迎えに行ってあげようかって言ったのに……素直に俺の言う事聞かないからこうなるんだよ、Aのおばかさん♪」


体温計を見て苦笑いしている零と不機嫌なのかご機嫌なのかわからない凛月。

そしてベッドで横たわらされている私。



夏目くんに自分の事を打ち明けてからニ週間程経ったとある日の事。


…私、十六夜 Aは風邪を引いてしまいました。


考えられる原因はたった一つ。
昨日、街の散策をしている最中に雨が降り出してきたのだ。


ネットの予報だと雨が降り出すなんて書いていなかったものだから当然傘も持ち合わせてる訳もなくて。



コンビニで買うのもなんだか億劫だったから雨に濡れるのも構わず散策を続けていれば…まあ当然、雨に濡れきった身体は芯まで冷える。


そんなこんなであっという間に風邪を引いて今は熱で寝込んでいる、というところだ。


まあ、雨に濡れた街も滴る雫と輝くガラスが反射し合って綺麗だったんだけどね。



自分の体調に気付いたのは今日起きてからだった。今日起きたのは18時、そこで襲ってきた寒気と頭痛と鼻水に怠さ。


正に症状から風邪だとは一発でわかったものの、自分一人で出来ることは限られていたので少し手を借りる為に凛月へ連絡を取ったのだ。


気付いたときに測った熱は37.5℃だったから上がる気はしていたけれど、まさか39.0℃まで上がってたなんて…。


…その後は動くのも辛くて何もしないまま眠りについてしまったのだが。



そして今の時刻は午前2時。
こんな時間に態々私の様子を見に来てくれた二人には今度、本当に血をあげなくてはいけないかもしれない。


…けれど、前に血を吸われかけた時、なんでか二人には私の血は飲めないって言われちゃったけど。なんでだったんだろう?


今思えば、それも前に夏目くんが言っていた’呪い’とやらが関係あるのだろうか。…いや、そもそも呪われてるかも分かんないけど。


そして普段もそうなのだが、私は一度考え始めると自分の世界にのめり込んでしまう。


だから目の前で零が手を振って私の顔を覗き込んでいるのも、ぼんやりとしか認識していなかった。


「………お〜い、Aちゃんや、我輩の話を聞いておるかえ?」



「……………んあ、ごめん、聞いてなかったかも。」

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エンドロール - すごくこの作品好きです!描写も細かいし何より読みやすくて面白い!これからも頑張ってください、応援してます。 (2020年1月18日 13時) (レス) id: feeead544b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロップ | 作成日時:2020年1月15日 9時

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