2章 呪われた身体( 7 ) ページ26
私の掛けた迷惑については今度夏目くんのお買い物に付き合う、という事で丸く収まった。
……個人的には全然収まってない。申し訳無さがそれだけじゃ償えない気がする。…本人がそれで構わないと言うのだからいいかも知れないけれど、うう。
「…そうダ、野良猫ちゃん。今日はボクが野良猫ちゃんを家まで送って行くヨ。怪しい奴に着けられてる可能性だって捨てきれないんだシ。」
「お家まで?…うううう、そこまでお願いできないよ。態々家から来てもらったのに今度は家まで送ってもらう、なんて………買い物だけじゃ返しきれない恩が…!!…そ、それに、私が野良猫ちゃんなら、家までなんか一人で…」
「…じゃあ野良猫ちゃんハ、態々野良猫ちゃんの為にここまで出てきたボクに対してノコノコ家に帰れって言うノ?」
「そ、その言い方はずるいよ……!?………うぅ、じゃあ、お願いします……」
完敗だった。言葉では先ず夏目くんに勝てる気がこれっぽっちもしない。
というか、言い方がずるいんだ……あんな言い方をされては私も断るに断れなくなってしまう。
隣からなんだか’野良猫ちゃんは案外チョロいんだネ♪’とか聞こえてきた気がするけどもう私にはツッコむ権利も気力も残ってなかった。
「フフ…本当、野良猫ちゃんとは昨日出会ったばかりなのニ、面白くてつい揶揄っちゃうナ。」
「面白いかな、わたし………というより、面白くさせてるのは多分夏目くんのせいだよ?…あっ、根本的には私の所為なんだけど………」
「ハイハイ、何でもかんでも自分を責めないノ。」
「ううううう……!?」
なんて会話の中、また自己嫌悪の悪循環に陥りかけた時、夏目くんに柔く頬を摘まれてしまった。
お陰で自己嫌悪はしなかったものの、マヌケな顔を見せてしまっているのが恥ずかしい。
というかもうここまで不甲斐ない姿ばかり見せているから、恥ずかしいも何も無いような気さえしてくる。
「な、なつめくん!はなひてほひいな!?!」
「エッ、仕方ないなァ………」
何とか必死にお願いしたらぱっと手を離し解放してくれた。
力はそんなに入っていなかったから跡こそ多分付いていなものの、なんだかまた恥ずかしい思いをしてしまった気がする……不愉快とかではなかったから、全然良いんだけども。
そんなやり取りをしていたら書店の中の照明が少し暗くなった。此処も閉店の準備に入ったのだろう。
早く出ないと閉じ込められてしまいそうだ。
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エンドロール - すごくこの作品好きです!描写も細かいし何より読みやすくて面白い!これからも頑張ってください、応援してます。 (2020年1月18日 13時) (レス) id: feeead544b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ドロップ | 作成日時:2020年1月15日 9時