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断章 夜の街 ページ2

嗚呼、陽の光を浴びて生きられるものなら、そうしてみたい。



そう最後に考えたのは何時だったか。
もう、思い出せない。



私は昔から昼間に動く事ができない。

御伽噺とかに出てくる吸血鬼と言う訳ではないのだけれど、昼間は何故だか身体の力がこれっぽっちも入らないのだ。


両親も必死にこの身体の原因を探ってくれては居るけれど、これが中々理由が見つからないみたい。


それでも私からすれば両親が私のために原因を探してくれる事自体が幸せなことだった。


そんな大好きな両親は今、海外で私の為に働いてくれている。



だから私は普段、昼間は死んだ様に眠って普通の人なら寝静まる夜を私の中の’昼’として生活する。


学校などには当然ながら通う事は出来ないので行っていない。


夜間制の所も紹介されはしたが、そんな所に行く位ならば独学で知識を蓄え少しでも時間を自分の為に使いたいと思ったからだ。


それに私は物語でよく見る青春とか、恋愛とか、そんなものにはこれっぽっちだって興味がなかった。


─────



空が暮れる頃と共に身体に力が入る様になるからそれで目覚める。
けれど目覚めてすぐには起き上がれないので数十分はそのまま少しぐったりとしたまま。


一時間経つか経たないか、そんな頃には身体もすっかり覚醒してくれるので、その時はじめて私はちゃんと起きたと言えるだろう。


何時も通りパジャマから私服へと着替え、顔を洗って歯を磨いて。
耳には絶対に欠かせないイヤホンを付け、いつもの様にスマホから音楽を流して。
そうして身なりを綺麗に整えたら街へ出向く。


今日も、街が私を呼んでいる。


────────



視界に映る人々は美しくないけれど、キラキラと光り輝く街は綺麗だ。

それは人の夢で、欲望で、希望で、金で、心で創られていると私にはわかる。なんとなく直感的に。


一人、私は輝く夜の街を行く。


確かに、昼間起きていられないのを辛いと考えた事はあったが最近はそうでもない。


昼間への希望だとかは夜空の宵闇の中へ捨て去ってしまったのだ。それ以上に、


私はたまらなく、人間達の手によって輝く夜の街が大好きだった。

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エンドロール - すごくこの作品好きです!描写も細かいし何より読みやすくて面白い!これからも頑張ってください、応援してます。 (2020年1月18日 13時) (レス) id: feeead544b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ドロップ | 作成日時:2020年1月15日 9時

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