41年の月日にはー

迷子…？ ページ14

侘助saidー

「ほら、行くよ！健二くん！」

「ちょ、待ってくださいよ！先輩！」

着くとそうそうに人混みへ紛れて行く2人。

「…若いね。」

そうAが呟く。

「お前だって浴衣なんか着て、以外と張り切ってんじゃねぇかよ。」

「侘助だって浴衣じゃない。」

「これは！…あの高校生に。」

確かに俺も着てはいるが、これは、頼まれたから仕方なく着ているだけだ。

「ハイハイ。一人だけ浴衣じゃないんだから、そんな会話しないでよ…。」

理一は運転手のためいつも通りスラックスに半袖シャツを着ている。

「…なんか、ごめんなさい。じゃ、取り敢えず私達も見てまわろっか。」

歩き出すA。なんとなく、昔と同じように並ぶ。
Aの右に理一、左は俺で歩く。

「あ、そうだ。…はい。」

理一が左手をAに差し出す。

「手、はぐれないように。」

「子供じゃないんだし。」

「良いから。ほら。」

2人が手を繋ぐ。どことなく、胸が苦しい。

「じゃあ、侘助もつなご？」

Aが俺に手を伸ばした。

「…っ、俺はいいよ。ガキじゃあるまいし。」

2人の仲は邪魔したくない。

「ひど。はぐれても知らない。」

「後、ここで３人手ぇ繋いでみろ。結構な修羅場の地獄絵図が完成すっぞ。」

４０越えた奴らが３人手を繋いで夏祭り。ヤバいな。

「…うわぁ。キッツいね。」

そう言って笑うA。

それに、居なかった10年は、大きい。
幼馴染の手を握る事さえできない程には。

2人を気にしないように屋台を見ていく。

「お、金魚すくいあるぞ、A」

振り返ると、2人が居なくなっていた。

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