夢見心地_08 ページ9
*
一歩、そして一歩…俺は彼女との距離を詰め
微かに震えた冷たい自分の手が
暖かい身体を抱き締めるのを感じ取る。
「“生きる”って難しいでしょ...」
『瀬名さんには感謝しているんですよ？』
「なっ…自分が何言ってるのか分かってんの…」
俺よりも俄然冷静で落ち着いた母体が言った。
『この子は私に“生きる希望”を運んで来てくれました。』
『それは瀬名さん…貴方のおかげなんですよ。』
優しく抱き締めたのはこれが初めてなのではないか？
俺はセピア色の遠い記憶を思い返していた。
「でも同時に俺は“殺す残酷さ”を孕ませてしまったでしょ..」
『仕方のない事です…でも、せめてお腹の中にいる間くらい
愛してても罰は当たりませんよね..』
そう呟き、俺のYシャツを強く握り締める無垢な母親
「ごめん…こんな男の子供で」
『そんな事言わないで下さい、瀬名さんの子を
授かれて…幸せなんですから…』
いつもは透き通った声が、この時ばかりは霞んでいた。
そして初めて彼女は俺の前で涙を流した。
その雫には腹の中の赤ん坊の分の涙までもが
含まれていそうに見えて恐怖心を抱いた。
…
0.02mmの壁は85%の約束しか守れないらしい。
そんな薄っぺらい所を通り抜けてまで
*
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ゆめゆら。(プロフ) - ゆあさん» 勿体無いお言葉です、甘々のハッピーエンドよりこういう話の方が私には綴り易いです（笑）ありがとうございました。 (2016年4月2日 10時) (
レス) id: 4e91be757d (このIDを非表示/違反報告)
ゆめゆら。(プロフ) - 菫さん» 読んで頂きありがとうございました* (2016年4月2日 10時) (レス) id: 4e91be757d (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - とても感動しました！ゆめゆら。さんの作品はどれも素敵なものばかりで、いつも楽しみにしています。 (2016年4月1日 10時) (レス) id: a2e2f69fa3 (このIDを非表示/違反報告)
菫 - 更新楽しみです！頑張ってください！ (2016年3月31日 21時) (レス) id: 01be289194 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆめゆら。
| 作成日時：2016年3月31日 17時
