夢見心地_02 ページ3
*
この女は俺の一個下の年齢なのに
アパートで一人暮らしらしい。
まあ色々と突っ込みどころはあるけれど
こういうのは触れない方が吉なんでしょ。
…
そして何故か俺はこの家に通うようになった。
理由はともあれこの女が心配になる
俺は母性本能でも兼ね揃えているのかと
こんな自分に嫌気をさすが、
彼女も嫌がる素振りを見せない。
…
日を追うごとに彼女はその声を
どんどん聞かせてくれるようになった。
声は透き通っており、歌を唄えばきっと
ものすごく綺麗な美声なんだろうなと思った。
「あんたの声、嫌いじゃないよ。」
『ありがとうございます。』
どうしてこんな男を家に入れてくれたのか
沢山言葉を交わすことは無くとも
こいつとの沈黙は苦では無かった。
もはや心地良かったのかも知れない
「あんた昔、“生きたい”って言ったよね。
あれは結局何だったわけ？」
最近はベラベラとまではいかなくとも
喋ってくれたりたまに話し掛けてくるし
調子が良さそうだから珍しく
について掘り返す作業をしてみた。
『喜怒哀楽って何ですか…？』
「は、急に何なの。面倒な質問だねぇ」
こんな予想斜め上みたいな会話を
持ち掛けてくるのがこの子
メンヘラだから仕方ないか。
「喜怒哀楽ね…ま、生きてるって感じなんじゃない？
感情表現しないと社会では生きづらいだろうしね。」
自分で言った言葉にはっとする
そうか、こいつにはこれが出来ないのか。と
初めて出会ったあの日、泣きそうな顔をしてるのに
涙は垂れてはいなかった。不思議なくらいに
『“メランコリー親和型”…これが私です。』
初めて自身の事を語った瞬間だ。
聞き慣れない言葉は一瞬で俺の中へ入った
それと同時に急いでスマホを取り出し検索する。
「ふうん…簡単に言えばうつ病ね。」
こんなの予想の範囲内だ、何も驚く事はない。
でも、次に言った言葉
『笑ったり泣いたりする事が難しいんです。』
「顔に出せなくても感情とか気持ちはまだ死んでない？
ムカついたり、辛かったりするの…？」
素直に問いかける俺
『言葉は並べれる、けれど本心かは分からない…』
じゃあ、さっき俺が褒めたその声
「ありがとう」って答えた礼はただの虚言？
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ゆめゆら。(プロフ) - ゆあさん» 勿体無いお言葉です、甘々のハッピーエンドよりこういう話の方が私には綴り易いです（笑）ありがとうございました。 (2016年4月2日 10時) (
レス) id: 4e91be757d (このIDを非表示/違反報告)
ゆめゆら。(プロフ) - 菫さん» 読んで頂きありがとうございました* (2016年4月2日 10時) (レス) id: 4e91be757d (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - とても感動しました！ゆめゆら。さんの作品はどれも素敵なものばかりで、いつも楽しみにしています。 (2016年4月1日 10時) (レス) id: a2e2f69fa3 (このIDを非表示/違反報告)
菫 - 更新楽しみです！頑張ってください！ (2016年3月31日 21時) (レス) id: 01be289194 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆめゆら。
| 作成日時：2016年3月31日 17時
