愛別離苦 ページ13
*
あのひと夏から何度目の夏が訪れたのだろうか
もう数えたくもない。
あれから連絡の一つも取っていない
生きているのかどうかもさえ知らない。
どれだけハンドソープを出して洗っても
熱いお湯で手をゆすいでも、
冷たい冷水で手をゆすいでも、
感覚が無くて、ただせっけんの香りがするだけ。
血が出そうになる寸前まで爪を切っても
ただ深爪するだけで。
世の中何も変わっちゃいない
いや、変われていないのは俺だけ…か。
あの時俺とあいつが未成年じゃなければ、
か弱き命は救えたのだろうか______
何回同じ事を考えただろうか。
いや、これからも死ぬまで俺の中で消えない記憶
俺が忘れてしまえば
もう死んでこの世にいない赤子を
ただ只管、俺の哀しい鳥籠の中で生かせ続ける..
______時たま夢を見る
知らない赤ちゃんの泣き声と
聖母のように微笑む知らない女の夢。
最初は気味悪いと邪険していたけど、
いつの日か愛おしい時間とさえ思えてきた。
夢という可哀想な虚像の中だけ許される
抱くことのできなかった我が子との対面
俺と君に似た
ならばせめて一度でも良いから逢いたかった。
でも...逢えなかったね。
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ゆめゆら。(プロフ) - ゆあさん» 勿体無いお言葉です、甘々のハッピーエンドよりこういう話の方が私には綴り易いです（笑）ありがとうございました。 (2016年4月2日 10時) (
レス) id: 4e91be757d (このIDを非表示/違反報告)
ゆめゆら。(プロフ) - 菫さん» 読んで頂きありがとうございました* (2016年4月2日 10時) (レス) id: 4e91be757d (このIDを非表示/違反報告)
ゆあ(プロフ) - とても感動しました！ゆめゆら。さんの作品はどれも素敵なものばかりで、いつも楽しみにしています。 (2016年4月1日 10時) (レス) id: a2e2f69fa3 (このIDを非表示/違反報告)
菫 - 更新楽しみです！頑張ってください！ (2016年3月31日 21時) (レス) id: 01be289194 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆめゆら。
| 作成日時：2016年3月31日 17時
