温度(2) ページ33
ザッ__ザッ___…
A「っ、はぁ…っは…。」
脚を引きずりながら…
痛む胸を、肺を押さえるように、手で押さえつける。
どうしてこんなに胸が苦しいのかな…
どうしてこんなに…
涙が溢れるんだろうか…_____。
・
・
・
A「涼介…っ、りょ…ぅすけ…。」
さっきまで温かかった
涼介の体温が…温度が
少しずつ消えていく。
海の冷たい潮風が、塗り替えていく。
涼介の唇が触れていた、私の顔に潮風が当たる
涼介の手が触れていた、私の脚に小さな砂がまとわりつく
涼介が抱き締めてくれた、私の体全体を…海の水が塗り替えた。
パシャンッ…
A「どうして…。」
どうして私は_____普通じゃないんだろうか、
どうして私は_____人間じゃないんだろうか、
どうして私は_____涼介と共に生きれないんだろうか…。
・
・
・
・
・
・
海面に浮かぶ私の体は、既に人間ではない。
丸く明るい、黄色い月は…私の体を照らし続けた。
涼介…目覚ましたら、私のこと探すかな、
心配して…私を探しに来てくれるかな、
A「…来るわけ、ないか。」
なにも、置き手紙でさえも残さずに消えた私を…探すはずがない。
…良く考えたら初めてかもしれない。
自ら私が、相手の前からいなくなるのは。
いつも…相手がいなくなるから。
・
・
・
・
A「…もう少し…そばで、見ていたかったなぁ…。」
海から離れて…呼吸が苦しくなる経験は何度かあったけど。
それ以上になったことは一度も無い。
もし…叶うならば、
涼介のそばで…死にたいよ。
だけど…そんなことしたら涼介が悲しむに決まってるから、
私には出来ない…。
それ以上になったらどうなるのかな___?
昔話にあった人魚姫のように、消えてしまう?
泡となって…消えてしまうのかな。
人魚姫…か、
懐かしい…、
人間なら誰もが知っているであろう、人魚姫のお話。
実はあの人魚姫…私のお姉ちゃんだったんです。
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kaori asa(プロフ) - 最高ーっ!です。気付いたらタオル握り締めて画面を必死にスクロールしてました。ありがとうございました。 (2019年9月24日 6時) (レス) id: 89ca319f3b (このIDを非表示/違反報告)
KNN☆(プロフ) - なんでだろう。目から雫が落ちてくる...夢主ちゃん可哀想だけど、なんだか、表現しきれないぐらいの想いを持って死んだのかなって思った、これからの続編みたいなやつ書いたら面白いと思います。とても面白かったです。 (2018年7月17日 20時) (レス) id: b591646d2a (このIDを非表示/違反報告)
rhythm♪ - 泣きました!とても感動しました!!くるすけさんの作品とっても大好きです。これからも頑張ってください!!応援してます!! (2018年2月9日 15時) (レス) id: d0ee879122 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - この作品何回も繰り返し読んでいるんですけども、本当にいいお話で、毎回毎回涙してます!! この人魚の生まれ変わりとかの話って書いてくれたりしませんか?? くる助さんのお話大好きです。これからも応援してます!! (2018年1月19日 23時) (レス) id: 7ce3edd3fa (このIDを非表示/違反報告)
涙もろ子さん - 涙が止まりません ほんっとに涙が止まりません…。これからも作品作り続けて下さい! (2017年10月9日 1時) (レス) id: 2bf35c0a63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:♪くるすけ♪ | 作成日時:2017年6月5日 20時