【銀魂】真選組監察方の紅一点番外編 (ページ47)

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その⑱ ページ47

「そうか…せっかくA殿が好きそうなカボチャのモンブランを買っておいたんでござるが…」

まだドキドキしている心臓を落ち着かせるために、深呼吸していた私は、突然ポツリと呟かれた言葉に思わず振り返った。

『そ、それってまさか、有名なモンブラン専門店の…っ！？』

その有名店のモンブランは、要のペーストは勿論のこと、クリームの中にメレンゲが入っていて、それがサクサクしていてとても美味しいのだ。

「確かハロウィン限定でござったな〜」

わざとらしく首を傾げる万斉を、ジト目で見つめて聞いてみる。

『…一応聞くけど、どこにあるの？』

今、ここには無いよね。

「拙者が借りている部屋があるでござろう？」

いつの間にか距離を詰めてきた万斉が、私の手を握ってにこやかに言う。

『……あのお高そうなマンション？』

思い当たる場所が1つだけあった。前に1回行ったことがあるけど…

いや、これは罠だ。

喜んでケーキを食べに行ったら、逆に自分が食べられるやつだ絶対…って何考えてるんだ私は！！

そういう考えに至ってしまった自分が逆に恥ずかしくなってきて、頭を振ってそれを打ち消すと、万斉を睨んだ。

だって、スイーツを餌にするなんて卑怯だ…！！

「いらないんでござるか？残念でござるな～」

『ゔ…』

私の心境を読み取ったのか、白々しくそう言われて何だか余計に腹立たしい。

ぐぬぬ…いらないとは言ってないじゃんっ…おのれ…っ！

「カボチャだけじゃ足りぬと思って、和栗のモンブランとチョコのモンブランも用意したんでござるが…拙者1人で食べるとするか…」

その言葉を聞いて私は、

『……行きます…』

気がついたらそう答えてしまっていた。

結局、目の前の怪しい死神の誘いに乗ってしまったわけである。

でもほら、ケーキ食べに行くだけだから…うん。

「そうと決まれば、さっそく向かうでござるよ」

某死神のノートの主人公のようにニヤリと笑った万斉が、嬉しそうに私の手を引いて歩き出したのを見て、

あ、やっぱり、無事に帰れないかも……なんて思ったのだった。

────お菓子と悪戯、甘いのは果たしてどちらでしょう？