その�� ページ46
「今はこれで我慢するでござる」
『〜〜っ！！』
そのまま親指で唇をなぞられ、一気に顔が赤くなるのを感じて、私は万斉から目を逸らした。
な、なんで今……っ！？
だいたい、ハロウィンってそういうイベントじゃないから！！
万斉が、不意打ちに固まっていた私をそばに引き寄せる。
「A殿…もう1回…」
そう囁かれたと思ったら、
『ちょ…っ、…ん…』
ちょっと待ってと言う暇もなく、再度唇を塞がれた。
さっき、我慢するって言ってたのは何だったのか。
ああもう…結局、絆されて流されてる気がする…。
ここ、外なのに……なんてぼんやり考えていたら、頭をグッと掴まれた。
『んぅ…っ！？んんー！！』
更に唇を割って舌が入ってきて、慌てて彼の胸を叩いて抗議する。
それでも、被っていた帽子が地面に落ちても、離してくれる様子はなくて…逃げようとした舌を絡めとられて、背筋がゾクゾクした。
酸欠になりそうになったところでやっと解放されて、言いたいことは沢山あれど、すぐに言葉が出てこなかった。
なので、息を整えてから、彼の顔面にパンチをおみまいしてやる。
『っ……調子に乗るなバカ！！』
見事顎にクリティカルヒットして、万斉が呻いた。
「痛いでござる…」
知るかこのっ…変態っ！！
舌噛まれなかっただけ、マシだと思えっ！！
私は下に落ちた帽子を拾い上げると、万斉から距離を取る。
「何故逃げるんでござるか〜」
『うるさい近づくなバカ』
近づいて来ようとした彼に釘を刺して、赤くなった顔を隠すように背を向ける。
ああ、まだ顔が熱い…
だ、だってあんな…っ…恥ずかしすぎる…！！
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年10月10日 2時
