その�� ページ42
とりあえず、周りの視線がとても痛いし、このままだと何だかややこしい事になりそうだから、さっさとお菓子を渡して速やかに帰ってもらおう。
『はい。ハッピーハロウィン』
私は万斉にお菓子の詰め合わせを押し付ける。
これ持って早々にお帰りやがれください。
後ろのほうで万事屋の旦那が「アイツだけズルくね！？」って叫んでるけど無視！
渡されたお菓子を見つめて、万斉は首を傾げた。
「…そこは、『あれ？お菓子がないどうしよう…』ってなって拙者が悪戯する流れでは？」
『しょーもないこと考えるな！』
そんなことだろうと思ってたよ。
つーかなんだそのベタな展開！！
「うむ、やはり悪戯を…」
『ええい飴でも食ってろ！』
私は肩を掴んできた万斉の口に、棒付きのキャンディーを突っ込んだ。
「むぐっ…」
『全く…』
油断も隙もない…と、肩に置かれた手を叩いて払い除けてから彼を睨む。
対する万斉は、キャンディーをくわえたまま不満そうな顔をしていた。
…そんな顔したってダメだから。
「オイA、いつまでそいつと話してやがる」
『あ…土方さん…すみません』
突然腕を後ろに引かれて慌てて振り返ると、超絶不機嫌そうな土方さんが万斉を睨みつけていた。
まあ、敵対組織の幹部がこう堂々と真選組隊士の中に入り込んできてるんだから、そりゃあ警戒して敵意むき出しにもなるよね…
そんな奴と現在お付き合い中の身としては、何だか複雑である。
一応、松平のとっつぁんが認めてくれたとはいえ…
やっぱり快く思われていないのは、隊士たちの態度からしても明白だ。
というか、とっつぁんがこの場に居なくて良かったかも。
「オジさん挨拶されてないんだけど〜」とか言って、容赦なく銃乱射しかねないもんあの人。
「土方…きひゃま…」
『飴食べながら喋んな！』
キャンディーをくわえたまま喋ろうとした万斉を注意すると、彼はそれをバリバリ噛み砕いて、棒をちゃんとゴミ箱に捨ててから戻ってきて口を開いた。
「…拙者のA殿に気安く触れるな」
『わっ…』
土方さんが掴んでいる方とは反対側の腕を万斉に引っ張られて、少しよろける。
「悪ぃな。コイツは大事な部下なんでな」
『ちょっ…』
再度土方さんに腕を引かれて、私は対峙する2人に挟まれる形になった。
いやあのっ…万斉の「拙者の」発言は置いといて、土方さんに「大事な部下」って言って貰えるのは素直に嬉しいんですけどっ……何この状況！？
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作者名：めぐりずむ | 作成日時：2021年10月10日 2時
