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「だからバカ、おめっ・・・違っ・・・それじゃねーよ!そこだよそこ!!」
雅は銀時に付き合わされて甘味処に来ていた。たまにはいいか、と入ってみたものの店長がバイトの少年──志村新八を怒鳴りつけている現場に遭遇してしまったのだ。
頼んだ紅茶を一口飲んでため息をつく。ちらりと銀時を見れば幸せそうな顔でパフェを貪っていた。
「オイオイ、その辺にしておけ店長。オイ少年、レジはいいから牛乳頼む」
「あ・・・ヘイただいま」
茶斗蘭星人の4人組が口を挟めば、店長は困ったように後ろ頭をかいた。
「旦那ァ、甘やかしてもらっちゃ困りまさァ」
「いや最近の侍を見てるとなんだか哀れでなァ。廃刀令で刀を奪われるわ職を失うわ、ハローワークは失業した浪人で溢れてるらしいな」
「我々が地球に来たばかりの頃は、事あるごとに侍がつっかかって来たもんだが、こうなるとケンカ友達無くしたようで寂しくてな」
「ついちょっかい出したくなるんだよ」
牛乳を頼んだ茶斗蘭星人が足を伸ばして少年を転ばせ、笑い声をあげる。すると彼が運んでいた牛乳が、銀時のパフェにぶつかって溢れてしまった。
故意に転ばされた事を知ってか知らずか、店長が再び新八を怒鳴りつけた。たまらず雅が立ち上がろうとした時、それより早く銀時が動き出した。
「おい」
その言葉と同時に銀時は店長を投げ飛ばす。店長が投げ飛ばされた先は茶斗蘭星人の囲むテーブルだった。
「なんだ貴様ァ!!廃刀令の御時世に木刀なんぞぶら下げおって!」
「ギャーギャーギャーギャー、やかましんだよ。発 情期ですかコノヤロー」
「見ろコレ・・・てめーらが騒ぐもんだから、俺のチョコレートパフェがお前コレ・・・まるまるこぼれちゃったじゃねーか!!」
銀時は木刀を振り回して騒ぎ出す茶斗蘭星人を殴りつけた。雅はまたひとつため息をつくと紅茶を全て飲み干して、お金をテーブルの上に置いた。
「店長に言っとけ、味は良かったぜ。行くぞ、雅」
銀時に腕を引かれてスクーターに乗る。パフェが食べれなかったことへの愚痴を呟く銀時の頭を、雅は軽く叩いた。
銀時は自分があの天人達を殴るのに使った木刀を、新八の腰に差してきたのだ。
「アンタよりあの子が可哀想だよ。今頃役人にとっ捕まって・・・」
「おいィィィィ!よくも人を身代わりにしてくれたなコノヤロー!アンタのせいで何もかもメチャクチャだァ!!」
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時