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「お妙の代わりに俺の命を賭ける。てめーが勝ってもお妙はお前のもんにはならないが、邪魔者の俺は消える。後は口説くなりなんなり、好きにすりゃあいい。
もちろん、俺が勝ったらお妙から手を引いてもらう。」
(銀時が決闘で命を賭けるなんて。確実な勝算があってのことだろうけど。)
「やめなさい!銀さん!」
「いい男だな、お前。いや、女子より男にモテる男と見た。」
近藤は己の真剣を地面に置くと、新八に木刀を貸すように言った。だが、それより早く銀時が自分の木刀を差し出した。
「てめーもいい男じゃねェか。使えよ。俺の自慢の愛刀、洞爺湖だ。」
新八が木刀を銀時に投げ渡す。いよいよ、決闘が始まるようだ。
「勝っても負けても、お互い遺恨はねェな」
「ああ。純粋に男として勝負だ。」
2人が木刀を構える。お互いの掛け声によって決闘は幕を開けた。
──しかし。近藤が振り上げた木刀は根本付近からぽっくり折れ、そのまま銀時にやられてしまった。
「甘ェ。天津甘栗より甘ェ。敵から得物を借りるなんざよォ。厠で削っといた。ぶん回したぐらいで折れるようにな」
なるほど、銀時の勝算とはこの事だったのだ。さしずめ削るのに思ったよりも手こずり、夕日が出るまで厠に篭っていたのだろう。
「貴様・・・そこまでやるか」
「こんなことのために、誰かが何かを失うなんざバカげてるぜ。すべて丸く収めるにゃ、こいつが1番だろ?」
「コレ・・・丸いか・・・?」
近藤は遂ぞ意識を失った。そんな近藤を横目に、銀時は橋の上の雅達に向かって声をかけた。
「よォ、どうだい?この鮮やかな・・・ふぐォォ!!」
「見損なったヨ!侍の風上にも置けないネ!」
「あんなことして勝って嬉しいんですか!卑怯者!!」
「お前!姉ちゃん護ってやったのに、そりゃ無いんじゃねーの!」
「もう帰る!二度と私の前に現れないで!!」
「しばらく休暇貰います!」
銀時は神楽と新八の猛攻によって、銀時も倒れ込んだ。だけど雅と妙は知っていた。すべて丸く収まったことを。
「なんでこんな惨めな気分・・・」
「銀時。私とお妙ちゃんはちゃんと分かってるよ。ほら、奢ってあげるから、行くよ。」
(ホント、不器用なんだから)
この夜、雅は銀ときに好きなだけ酒を飲ませたのだった。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時