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「という訳なんですよ。」
どうやら、妙がおかしな客に捕まったらしい。出会った初日に結婚を申し込まれ、それを断ると今度はストーカー被害に遭っているとか。
「良かったじゃねーか。嫁の貰い手があってよ。帯刀してたってことは、幕臣かなんかだろ。玉の輿じゃねーか。本性がバレない内に籍入れとけ、籍。」
「それ、どういう意味?」
「警察に相談しようにも、相手が悪いと・・・悪質なストーカーね。お妙ちゃん、良かったら今日、私の家に泊まって行きな。」
「ありがとう、雅さん。最初はね、そのうち諦めるだろうと思って大して気にしてなかったんだけど、どこ行ってもアイツの姿があって・・・ホント異常なのよ」
最初からかなり危険なストーカーだが、大して気にしてなかったとは、さすがお妙。肝の座り方が違う。
「ハイ、あと30秒。」
「ハイハイ〜ラストスパートー。噛まないで飲み込め、神楽。金持ってきてねーんだから」
ストップウォッチで時間を計る店員。大きなどんぶりで拉麺を食べる神楽。それを応援する銀時。
そう。雅以外話を聞いていなかった。すかさず新八が「話聞いてんのォ!?」とツッコミをかます。
「んだよ、俺にどうしろっての。仕事の依頼なら、出すもん出してもらわなきゃ」
「銀さん。僕もう2ヶ月雅さんからのお小遣い以外で給料貰ってないんですけど。出るとこ出ても良いんですよ。」
「小遣いだァ?雅そんなもんあげてたのか。」
「どっかの社長さんがだらしないからね。・・・じゃあ、頑張ったら今日は私の奢りで飲みに行くってのは?」
雅がそう提案すれば、銀時は嬉しそうな顔をして食いついてきた。
(雅さん、銀さんの扱い上手いな・・・やっぱり2人って)
こうして、新八の勘違いは進んだのだった。
「ストーカーめ!どこだァ!成敗してくれるわァァァ!!」
「なんだ!コノヤローオラァ!やれるもんならやってみろォ!!」
「ホントに居たよ」
妙のストーカー、真選組局長近藤勲は隣接したテーブルの下から這い出てきた。
雅はさっきの「どこに行ってもアイツの姿があって」という言葉を思い出し、こういうことなのか、とひとり納得した。
「ヘッ、ストーカーと呼ばれて出てくるとはバカな野郎だ。己がストーカーであることを認めたか?」
「フンッ、人は皆、愛を求め追い続けるストーカーよ。」
「あんなストーカーと同じにされたくないんですけど。」
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時