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届け先は戌威星の大使館だった。戌威族と言えばこの国を開国させた、恐ろしい天人たちだ。
立派な建物に気圧されていれば、大使館の見回りらしき者が近づいてきた。
「オイ。んな所で何やってんだ?テメーら。食われてェのかワン?」
(ワン?)
「チッチッチ、おいでワンちゃん。酢昆布あげるヨ」
神楽の頭を思いきり叩く銀時。銀時は神楽が地面に置いた届けものを拾うと、戌威族に手渡した。
「ああ、コレだよコレ」
「届けものが来るなんて話聞いてねェなあ。最近はタダでさえ爆弾事件警戒して、厳戒態勢なんだ。帰れ!」
「ドックフードもしんねェぞ。貰っとけって。」
「そんなモン食うか!!」
銀時の言葉が琴線に触れた戌威族は、差し出した届けものを手で払い除けて飛ばした。
すると、飛んで行ったブツが爆発を起こしたのだ。
「なんかよくわかんねェけど、するべき事はよく分かるよ・・・逃げろォォォ!!!」
一斉に走り出した万事屋4人。しかし戌威族に新八が捕まり、新八が銀時を捕まえ、銀時が雅を捕まえた。
神楽は雅の手を掴んで先頭に立っていた。手を離さなければ、誰も身動きが取れない状態。しかし、誰も手を離すことは無かった。
「新八ィィ!てめーどういうつもりだ離しやがれ!!」
「いやだァァァ!1人で捕まるのはァァ!」
「俺のことは構わず行けェ!とか、言えねェのかお前は!!」
「私と雅の事は構わずあの世へ逝けェェ!!」
「痛い痛い!ちぎれる!!!!」
銀時と神楽に引っ張られる雅が悲鳴をあげる。すると爆音を聞きつけた天人たちが続々と走ってきた。
「アァァァ!ワン公いっぱいきたァァ!」
もう無理だ、と諦めた時。
笠を被った男が次々とワン公達をなぎ倒していった。
「逃げるぞ。銀時、雅。」
「ヅラか。ヅラ小太郎か?」「ヅラ!!!」
「ヅラじゃない!桂だァァァ!!」
久しぶりに聞いたお決まりの台詞。雅は胸がいっぱいだった。
「てめー!久しぶりに会ったのにアッパーカットは無いんじゃないの!!」
「そのニックネームで呼ぶのはやめろと何度も言ったはずだ。」
「つーかお前、なんでこんな所に・・・」
「いつまでくっちゃべってんだオラァ!!」
「話は後だ!銀時!」
桂の先導でビルのような建物に入る時には、もう追っ手は巻けていたようだった。
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作者名:p.m. | 作成日時:2024年3月14日 17時