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7:00AM ページ3

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7:00AM


私には憧れてる人がいる


いつもの駅、いつもの時間、
いつも同じ車両



彼はいつも同じ時間に同じところから電車に乗り込む


それを知ってるのは私も彼と同じだから





今日も同じ時間に駅へ行く



「......車両故障」



もうすでに改札を抜けてホームに向かっているというのに


階段を降りるとそこにはいつもの彼



電車が来ない分、なんだか待ってる時間がもどかしい



しょうがないから時間潰しにスマホへと目線をうつす



と、



自分の近くに人の影を感じて顔を上げると



「あ、あの.......いつも同じ電車ですよね」



彼が話しかけてきた



「....あ、はい....」



「その..........車両故障とか、朝から困りますよね」


「そうですね.....どのくらいかかりますかね」


たわいもない話。



彼はどことなく耳が赤くて、冬でもないのに不思議...




「あの...もし、よかったら連絡先教えてもらえませんか?.........ずっと、あなたのこと気になってて......」


「えっ....!!!」


「......あっ、でも俺には興味無いって知ってるんで...........その.......いつもアイツのこと見てるから」



____アイツ



それはきっと、いつも私が見てる彼のこと



いつも同じ時間、同じ車両から乗ると
3駅後に彼が電車に乗ってくる



アイツと呼ぶのは、彼と今話している北山さんは友人なんだろう


「アイツのこと....気になってんのかなって......」


「そ、それは........」


「アイツのこと気になっててもいいから.......少しでも俺のこと知って欲しい」


真っ直ぐに私の目を見て話す北山さん


「....っ、でも.....私はあの人の名前も知らないから」


目を見開いて驚いた顔をした北山さん


途端に、イタズラな笑顔になって


「それなら、俺のほうがリードしてんじゃん」



遅延していた電車が走り出したアナウンス

目の前には知り合ったばかりの人


「アイツより俺のほうが君のことも知ってるね」





電車が到着するまで、私は「はい」とか笑ったりとか、ドキドキを隠すようなことしかできなくて



電車に乗って3駅、彼が乗ってきた時には



「大倉おはよ、彼女はAさん」と


私を紹介してくれた



そこからのことはあんまり覚えていない



翌日駅に向かう時は


髪型やメイクを気にしてる自分がいた





階段を降りる



「...あ!おはようAさん」



この笑顔をみるために同じ時間、同じ車両に

今日からは乗ろうと思った


7:00AM

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作者名:tom | 作成日時:2020年7月4日 22時

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