【APH】 PERSON×COUNTRY

NO16 ページ18

『本当に広いね〜』
　
「そうね〜お兄さんもいまだに迷っちゃうからねぇ」
　
そう言って廊下を歩く私たちの手は繋がれていた
　
　

【「こんな広いところ心細いでしょ？お兄さんがちゃんとエスコートしますよー？」】
　
とふわっと笑いながら差し出したフランシスの手に

恥ずかしかったけど、私は手を重ねた
　
　
彼からは、どこか懐かしい薔薇の香りがした
　
アーサーの香りと似ていた。
　
　
　
　
　
　
　
　
　
時折カーテンから落ちる木漏れ日に
　
静かで長い廊下は照らされていた
　
　
　
どこかでかすかに生徒たちが笑い合う声が聞こえた
　
　
　
　
　
　
　
向こうの方のアーチ状の出口からようやく見えてきた光
　
窓からの光
　
高い天井に反射して

絶妙な弧を描いて舞い降りてくる
　
　
光の結晶の粒々はフランシスの背中と共鳴して

また、壁へと吸い込まれていく
　
　
　
　
近くに居るはずの彼が

とてつもなく遠く見えた
　
　
この世界から


私から切り離されている


そんな感じがした
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
　
ここに来たときから思っていたことがあった
　
　
　

　
やたら古めかしい建築用法

無駄に豪華な内装
　
　
その裏側には計り知れないものがある気がした
　
　
　
　
この学園は 変だと思った
　
　

　
この学園も、ここに居るみんなも
　
　
私以外時が止まったように見えた
　
　
一瞬だけ
　
　
　
　
でもそんな瞬間がまた見えた


　
　
　
　
　
　
　
『フランシス！』
　
　
もうすぐ出口にさしかかろうとしたとき

とっさにフランシスの手を引いた
　
　
　
　
振り返った フランシスが私につぶやいた
　

　
　
　
「Aちゃん
　
これからどんなことがあってもお兄さんはAちゃんの見方だからね」
　
　

　
　
意味深な台詞
　
　
いつものフランシスと違う
　
強い眼差しと、心なしか手に込められた力が
　
　
私をとてつもない不安に陥れた
　

　
　
　
　
　
　
　

　
　
　

　

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