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目隠しで探りつつ inドイツ ページ10

「(セトとおんなじこと言った…)」


 森にある家から連れ出してくれたセトの笑顔と、目の前にいるその人の照れくさそうな笑顔が重なる。


「(この人なら、…信じても大丈夫かな?)」


 息を吸い込むと、勢いづけて、わたしは言った。


「あのっ…」

「なんだ?」


 大きな青い目が、こちらを覗き込む。


「名前、は?」


 緊張した声で尋ねと、その人はなんてことなく言った。


「ああ、俺はゲルブっていうんだ」


 ゲルブ…

 その名前と、今の___ゲルブの微笑みとを、心に刻み込む。


「(この人なら…。きっと、助けてくれる)」


 そう思い、にっこりと笑う。

 すると、ゲルブも微笑み返してくれた。


○○○


 無邪気に笑うマリー。

 いつものお嬢様の微笑みとは違う。

 それだからか、お嬢様としてではなく、マリーとして扱うことができた。


「(それにしても、本物のお嬢様はどこにいるんだろう。入れ替わったんだったら、マリーの体の中にいると考えるのが自然だが…。)」


 ふと、エジプトで出会った世界一の人工知能のことを思い出した。


「(RDなら…。お嬢様がどこにいるか、調べられるか?)」


 シュバルツが言うに、クイーンは死んだそうだ。

 その後、パートナーのジョーカーやRDについての情報は入っていない。


「(だったら、あいつに聞いてみるか…)」


 ポケットの中のスマホを手に取って、電話帳を開く。

 パッと出てくるあいつの名前。


「(気は進まねぇが、あいつんとこのジジィはクイーンの師匠だそうだからな。何かしら知ってるだろ)」


 その名前をタッチしようとする。

 しかしそれは


「お嬢様っ! どこにいらっしゃいますか!?」


というシュテラ様の声で阻止された。

 マリーの肩が、ビクリとはねた。


「お嬢様…」


 通りに出てきたシュテラ様は、まっすぐとマリーを見た。


.

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作者名:菜の葉 | 作成日時:2016年11月5日 11時

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