現状説明の前に inドイツ ページ12
「お嬢様、ご無事ですか？ 突然いなくなられたものだから、心配いたしました」
シュテラ様はそう言い、近づいてくる。
俺は、マリーがとても緊張しているのが、手に取るように分かった。
「シュテラ様、実は…」
「いったん部屋に戻りましょう。話はそれからです」
言いかけた言葉は、シュテラ様の声にさえぎられた。
俺とマリーはシュテラ様に導かれて、家の中に入った。
○○○
俺とシュテラ様はマリーをリビングに置いて、そこから遠い小部屋で向かい合っていた。
「ゲルブ…」
シュテラ様が、おもむろに口を開く。
「お嬢様は私たちに、何か隠し事でもあるのでしょうか。どうも、いつもと違うように感じるのです。先ほどは、目にもとまらぬ速さで私の前から姿を消されました。それに、…目の色がピンク色に染まっています」
そして、俺の目を覗き込んでいう。
「ゲルブ、何か知りませんか？」
ドクンと心臓が鳴った。
「(言うか？今、ここで)」
もしも今言ったら…、リビングにいるお嬢様は、本物じゃないと言ったら…
「(シュテラ様は現実的なお方だ。“入れ替わった”なんて信じないだろう)」
背中をじっとりとした汗が流れる。
「(シュテラ様がそれをどう思うかはわからないが、もしも＿＿＿＿＿＿
もしもマリーを、どこかの組織のスパイか何かだと思ったら…)」
嫌な想像に、背筋が震える。
「(言わない方が、いいかもしれない…)」
そう思うと、勝手に口が開く。
「いえ、俺はなにも」
俺がそういうと、シュテラ様はため息を１つ吐いた。
「そうですか…。わかりました。では、ゲルブは任務に戻ってください」
「イエッサー」
声が震えてないのを確かめて、少し安心した。
.
ラッキーカラー
あずきいろ
今日のあなたにラッキーな能力は…？
目を覚ます能力
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作者名：菜の葉 | 作成日時：2016年11月5日 11時
