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許嫁を紹介します　daiki.s ページ29

「ふつつか者ですが、よろしくお願い致します」

今、なに時代やねん！！！

親戚経由で現れた人。
重岡さんの許嫁です。って…
今日から一緒に暮らします。って…

漫画か！！！

あり得ない展開に思考が追いつかないうち、引っ越しを済ませて、ちゃっかり住み着いてるし…

「なんと呼べば？」
「なんでもええけど…」
「重岡さんだと、私もそのうち重岡さんなんで、
　おかしいかな？と…

もう結婚する前提なんや…

「本気で言うてんの？」
「なにがですか？」
「結婚する気なん？」
「え？重岡さんはしない気なんですか？
　もう引っ越し済ませちゃったんですけど」

驚いた顔してそう言った。
こっちのが驚いてます。

「許嫁って、いつの時代の話？
　普通恋愛して、結婚するもんやない？」
「したことないんで分からないですけど」

ごもっともの返しをされたし…

話は平行線のまま、始まった同棲？同居？？

「ご飯作りました」
「すんません。いただきます」

無言で食べる2人。

「あ、先に入りました。おかえりなさい」
「ただいま」

仕事から帰ると風呂から出てきた人。

「おやすみなさい」
「おやすみ」

別々の寝室へ。

これ、なんやねん！！！
ただの同居やし！！！

そんな不思議な生活が続いた。
お互い干渉しないから、そこまで苦痛ではなかった。

「大毅でええんちゃう？」
「え？」
「呼び方」
「大毅、さん」
「さん、いる？」
「まだ結婚前なんで」
「オレは？なんて呼べばいいん？」
「Aで…」
「Aさん」
「あ、結婚前ですからね」
「じゃあ、大毅さん」
「はい、Aさん」
「はい」

受け入れ始めている自分。

「何か食べたいものありますか？
　いつも確認しないで勝手に作ってしまってるんで」
「大丈夫やけど」
「何かあったら言ってください」
「急に気付いたん？」
「いや、職場の先輩が旦那さんの好きな食べ物作って
　あげれば喜ぶよって教えてくれたんで」
「まだ結婚してないけどな」
「あ、そうでした。図々しくてすみません。
　あと、先輩が……」

急に小声になる。

「なに？」
「旦那さん、あ、旦那さんになる予定の人にしてあげ
　ると喜ぶことを教えてくれて」
「どんなん？」
「夜の生活のこととか」

飲んでた水にむせて吐き出した。

「大丈夫ですか？タオル」
「すんません」

タオルを受け取り、こぼした水を拭く。

「また図々しいこと言って、すみません」
「まだ結婚してないしな」
「あ、はい」