検索窓
今日:7 hit、昨日:3 hit、合計:6,548 hit

6 ページ7







そんな婚約騒動からも1年。
中学三年生の冬。






受験を間近に備えたAさんは今にも死にそうな顔をして立っていた。






「…いつも以上に変な顔してますけど、大丈夫ですか」






ここは、屋敷の中庭。
行き詰まっているような彼女を気遣い散歩に誘ったのだが、変な数字を唱えてばっかりで話しかけても返事がない。





仕方がないので、ため息を1つ吐き、彼女の両頬を引っ張る。
手袋はしているので冷たくはないはずだけど、これで流石に意識は戻ってくるだろう。






「きいてます?」

『!? ひゃいっ!』






ジト目で睨んでいると、焦っているのか彼女の額に冷や汗が滲む。
……あからさまに目もそらされて視線も合わない。






なんだか面白くなくなってきて手を外す。






『……私、このままだと落ちるかもしれないです』

「別にいいじゃないですか。学力の差があるところに入っても辛いだけですよ」






少し間を開けてから話し出す。
落ち込んだ様子だったので励ましたが、励ましてくると思ってなかったのか驚いた顔をされる。






「四六時中一緒にいてもstressが溜まるだけですし」






つい口をついて出てしまった言葉にAさんは怒った顔をしてくる。
……本当にこの口は、ろくな言葉がでてこない。






しかし、彼女と同じ学校に通わなくても良いと思っていたのは本当だった。
どうせ、アイドル科ではなく普通科に入ることになる。






そうなると、同じ学校とはいえ様子がみれなくなるだろう。
Aさん自身はあまり気づいていないが、彼女は結構可愛い。






今までは私と常に行動してたから男が寄ってこなかったが、今度はきっとそうはいかない。
彼女に寄ってくる男たちを想像して眉間に皺がよる。






……そうなるくらいなら近くにある女子校に通ってもらった方が都合がいい。






なんて、こんな卑怯なことを考えてること、未だに怒ったようにこちらをみているAさんは知りもしないだろう。






……別に今は、それでいい。






『なんですか急に…意地悪言ったり笑ったり…今日の坊っちゃまちょっとおかしいです』

「なんでもないです。それより寒いので部屋に戻りましょう」






……その後、本当に受験に落ちたAさんが別の公立高校に行き焦ることをこのときは知らなかった。






続く  (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう

←5



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (41 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
383人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:もちうさぎ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2022年11月16日 3時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。