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ーーー やっとここまで来た。
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長かった道のりを思い出し、ふう、とため息を吐く。
車が止まり、運転手から声をかけられる。
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車から降りてみえたのは、白く大きな御屋敷。
表札には千賀の文字。
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ここは、…一応婚約者である“ 千賀葵 ”さんの家。
ここに来たのには、理由がある。
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北条A。
幼い頃から傍に仕えてきたメイド。
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彼女は今、我が家とライバルである姫宮家にいる。
……どうしても、戻ってきてもらわなければならない。
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家に帰ると、彼女がいなかったあの日のことを思い出すと、正直憂鬱な気持ちになる。
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……ほんとうに、面倒なことをしてくれるな。
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屋敷に入ると、使用人たちにある1つの部屋に案内された。
コンコン、とドアをノックすると中から「どうぞ」と声が聞こえてくる。
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扉を開き、中に入ると真ん中に置かれた広々としたソファーの上に一人座る、葵さんの姿。
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｢契約を果たしてもらいにきました｣
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入って早々、そう口にした私をみて、彼女は驚いたように目を見開いた。
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