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4話 ページ5

「先生…なんで万次郎(アイツ)ろくに練習しねぇのに、あんなにスゲェの?」

「あれは天才」

「えー!?ずりぃよ、なんだよソレ!?」

「なぜならワシの孫だから」



今度はミットを蹴る音だけが鳴り響く。

その音に場地は振り返ると今度はAが、万次郎と同じくミットを使い、音もなく飛び上がり万次郎と同じく飛び蹴りを放っていた。
音もないのに万次郎より少し劣るが、十分な高さを飛び、ミットを持っていた大の男が少しよろめいたぐらいの威力を放った。
そしてまた音もなく着地すると万次郎と同じくポーズを決める。

思わず場地もエマも声も出ないくらい見惚れてしまっていた。
場地を見て師範は耳打ちをする。




「圭介、練習の時からそうだが、Aのこと見過ぎ。オマエにはまだ孫はやれんの」

「なっ…!!//違っ…!!」



顔を真っ赤にさせながら否定をしようとするが、師範は離れていってしまった。
小さく唸り声をあげると、近くを通った万次郎に行き場のない矛先を向ける。



「オイ佐野!!ちょっと組手しろよ!!」

「え?ヤダよ、汗かきたくねぇもん」

「じゃあなんで道場来てんだよ」

「俺のすごさを見せつけて目立ちたいから」

「なんちゅー性格してんだコイツ」

『私が相手しようか?』



ちょうどAも終わったのか、場地のもとへとくる。
場地は先程の師範の言葉を思い出し、少しだけ顔を赤くした。



「あ……いい!」

『?何、また負けるのが嫌なの?』

「違ぇっ!」



場地は顔を逸らすとちょうどエマの姿が目に入った。
エマは場地と目が合うとまた隠れてしまった。



「ところでずっといるあの子、誰?」

「エマ」

『妹だよ』

「え?」





場地にエマのことを話す。



「へー、オマエらオフクロが違うんだ?」



エマは無表情で場地を見つめる。



「外人みたいな名前だな」

「だろ?」

「『(脳みそのレベル一緒)』」



奇跡的にエマとAの脳内が合致した。


「じゃあオレ、エドワードの“エド”」

「オレ、マイケルの“マイキー”」



突然万次郎と場地は外国人ぽい名前をつけ始めた。



「ディスイズアペン」

「アイハブアウ○コ」

「オーマイガッ」

「オーマイガッ」



二人は走り回り、二人でケラケラと大声で笑い始めた。



『幼稚園生か…』



Aは二人のやり取りに呆れてため息を吐く。





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作者名:芽衣 | 作成日時:2021年9月26日 18時

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