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1話 ページ2

うちは空手の道場をお爺ちゃんが経営していて、私や双子の万次郎も空手を教わっていた。
練習の休憩時間、いつの間にかいなくなっている万次郎にお爺ちゃんは気が付き、溜息をつく。



「また万次郎の奴、抜け出しおって…」

『探してこようか?』

「全く…頼むA」

『は〜い(やった!私も抜け出せる♪)』



るんるん気分でいつもの場所にいるであろう万次郎を探して家をでた。









『いつもの公園かな?』



胴着のまま外に出て、近くの公園に行くと、ジャングルジムに乗っている万次郎を発見した。



『あ、いた。ん?誰だろう』



万次郎はジャングルジムの天辺でのうのうと空を見上げており、その下では一人の男の子がねそべっていた。



『万次郎!』

「お、Aか」

『Aか、じゃないよ!何してんの?』

「空見てる」

『というかこの子誰?』

「知らない、最近よくつっかかってくる」



Aは男の子のところへ屈んだ。
頬が少し腫れていて、万次郎の言う通り万次郎にやり返されて気を失っているようだった。
見た目は同い年ぐらいで黒髪の癖っ毛が特徴的な男の子。

頬をツンツンと軽く突いているとバッと目を覚まし、勢いよく起きあがった。



ゴツンッ



そのせいでAと男の子は額がぶつかり重い音が鳴り響いた。



「っ〜〜〜〜ッ」

『大丈夫?』



思わず男の子は痛みで額を抑えるが、Aは平気な顔で男の子の顔を覗き込む。



「Aの石頭」

『うるさい万次郎』



男の子は少しだけ涙を目尻に浮かべながらAを睨みつける。



「いってーな石頭!」

『自分からぶつかってきたんでしょうが』

「うるせー!」



プイッとそっぽを向く男の子。



『なんで万次郎につっかかってきたの?』

「万次郎?」



ん、とジャングルジムの万次郎を指さす。
男の子は万次郎の方を見ると睨みつけた。




「ここは俺の公園だからだ!あいつが勝手に俺の公園に入って来やがったから、喧嘩を売った」

『はぁ?』

「なんだよ」

『公園はみんなの物だよ。君のものでもないし万次郎のものでもない』

「…………」



正当なことを言われて男の子は黙り込む。





.

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作者名:芽衣 | 作成日時:2021年9月26日 18時

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