2話 ページ4
ブチャラティside
｢おい、ブチャラティ！お前に客人だぞ！｣
｢俺に…か？名前は？そいつの素性は知っているか？｣
急にミスタから客人が来たと告げられたと思えば、名は聞いていないと言われる始末。
何年ギャングをやってんだこいつは。素性も知らない奴と会うわけにもいかねぇだろ…。
やれやれとため息をつきながらも、ミスタにはまだ話の続きがあるようで、ミスタの話に耳を傾けた。
｢すまねぇな、名前は聞きそびれちまった。しっかしよォ、それが今までに見たこともねぇくらいのベッラドンナなんだよ！あの顔見たらぜってぇ忘れねぇよ！？｣
と、ミスタは若干ヒートアップしながら言う。
ミスタの発言からして、相当なベッラドンナとみた。
｢…そう、だな………。忘れられないほどのベッラドンナ、か…。
確か1度だけ病室で出会ったことがあった気がするな…。｣
___あれは確か2年ほど前の話だった。
母が病気で他界し、残された娘と父親がいると聞いた。
その娘がとても美しかった記憶がある。
まだ年端もいかない娘だったな。
父も病気にかかり、あの年齢の少女には父を治療させる金もなかっただろう。
…あの時の少女の悲しい顔は今でも忘れられない。
美しいあの顔にあんな顔をさせたくないと、初めて見たのに何故かそう思う自分がいたのだ。
そして俺は、その少女の父親に治療を受けさせた。
____もちろん、組織あっての金だ。
｢確か、名は…。｣
一連の流れをミスタに説明すると、俺から彼女の名前を聞く前に、1度聞きに行く、とその少女(？)と思わしき女の方に行ってしまった。
｢おい！ミスタッ！｣
はぁと2度目のため息をつきながらも少女の名前を思い出していく。
しかし、やはり思い出せない。
｢…………名字…。確か名字は…。｣
…河合だったよな…？
昔の記憶を必死に辿りながらも名字だけ思い出せた。
間違いない。あいつは河合だ。
｢…名はあとから俺が直接聞きに行くにしよう。｣
そして、椅子から立ち上がり、ミスタが行った方へ向かった。
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作者名：めぐ | 作成日時：2020年1月17日 12時
