97 氷の矢 ページ5
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今日も悠馬に連れられ、雷門の試合を見に会場へ足を運んでいた。
今回の雷門が当たる対戦校は白恋中という、北海道の中学校のチームだ。
「ちょっと買い物してくるから、二人はここで待ってて」
「いえ、俺も着いて行きます」
「じゃあA。何も無いとは思うけど、ここで待っているんだよ」
「分かった」
ゆうまの指示に頷き、何をすることもなく待っていた時だ。
「Aさん？」
「……氷浦」
「やっぱりそうだ！」
後ろから名前を呼ばれ、振り返ればそこにはジャージ姿に荷物を持った氷浦がいた。
「試合、見に来てくれたの？」
「ゆうまが見に行こうって誘ってくれたので」
「それでも嬉しいよ。絶対勝つから見てて」
「……そうですか」
王帝月ノ宮の勝利は絶対であるが、雷門の勝利は分からない。
いつも見ていて、負けると思う瞬間がある。
……なのに、雷門は負けていない。不思議だ。
「あ、Aさん。試合の後時間あるかな？」
「呼び出しがなければ時間はあります」
「呼び出し……？」
氷浦は呼び出しについて首を傾げた。
誰に呼び出されるのかと言うと、オーナーからだ。
「それがなかったら大丈夫なんだな。分かった、試合の後どこかで待っててくれないかな」
「構いません。それが命令なら」
「命令じゃなくて……”お願い”だよ」
「お願い？」
命令ではなく、お願い。
お願い、とはなんだろうか。
「お願いとは何ですか？ 命令と何が違うのですか？」
「命令は絶対って意味だろ？ お願いっていうのは頼むことなんだ。Aさんの都合が悪かったらそれでいい。叶えて貰えればラッキーって感じさ」
「……なるほど」
つまり、お願いというのはこちらの都合で了承するもしないもできるということなのか。
……初めてだ。そんなこと言われたのは。
「自分には拒否する権利はありません。ですから氷浦、貴方のお願いは叶えます」
「……そっか。でも急用ができたら言ってくれ」
そうだ、と言って氷浦はジャージのポケットに手を入れる。
そこから取りだしたのは、自分も持っている携帯電話だ。
「連絡先、交換しても良いかな」
「特に何も言われていませんので、大丈夫です」
「ありがとう」
「……それで、どうやって交換するのですか」
「あ、俺がやるよ」
そう言って氷浦は自分の携帯と自身の携帯を両手に操作をする。
その光景を自分はボーッと見つめることしかできなかった。
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恵野(プロフ) - 青碧さん» コメントありがとうございます。惹かれるなんて嬉しい言葉、ありがとうございます…！ 実は書きながら履修している状態だったりします汗 ちょいちょいオリジナル展開を挟ませていただいているので、履修する際はお気を付けください…！ (2022年5月17日 21時) (
レス) id: 78dc1b910c (このIDを非表示/違反報告)
青碧(プロフ) - 初めまして、青碧と申します。文章の書き方に惹かれて気づいたらここまで読んでおりました…そのくらい惹き込まれる展開でございました！アレスは未履修ですが楽しく読ませていただいております！これからも応援しております！ (2022年5月17日 21時) (レス) id: d3cfc8958d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：恵野 | 作成日時：2021年11月7日 15時
