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明日は一二三も休みらしく、深夜だと言うのに晩御飯を用意して待っていてくれた。独歩は呪文のように謝罪を繰り返しながら、美味しいご飯を口に詰め込む。家庭的な味の料理は妙に現実的で、先ほどの不気味な出来事は夢のようだった。



「(もしかしたら本当に夢なのかも……。俺のことだ、道端で寝てたのかもしれん。いや、そうだったらかなり……その、アレだな)」

「ちょーっと独歩ちん?なにぼーっとしてんの。俺っちのご飯美味しくない?」

「あ……ああ、すまん……ちょっと考え事してた」



無駄に顔の整った金髪の男、伊弉冊一二三が頬を膨らませながら独歩の顔を覗き込む。29歳にも関わらず何故か似合うその表情に、独歩は自分の陰気な顔を思い浮かべて苦笑いをした。



「ていうか一二三、お前寝ててもいいんだぞ。俺なんかのこと待ってて隈でもできたらナンバーワンホストの名が廃るだろ」

「え、じゃあ独歩が皿洗いとか全部やるの?この間寝不足でぼーっとしててお皿3枚ダメにしたのに?」

「うっ……だ、だが」

「もうっ、俺っち達何年トモダチやってると思ってんの!独歩の為ならそのくらいやるって。ほら、食べ終わったんなら寝なよ!」

「すまん…… 」



深夜だというのにこの男のテンションは高い。それにどこか甘えてしまい、独歩は寝室に向かった。スーツを脱ぎ、スウェットに着替える。やはりスーツというのはいくらくたびれていても肩が凝る。それに比べてスウェットの安心感は格別だ。



束の間の安堵に身を任せて、ゆるゆると瞼を下ろす。そう、そのまま独歩は眠りに___



つけなかった。ザク、と何かが切れる音がして、しかもそれが自分の耳元だったのだから。独歩はほぼ反射的に目を見開き、少しだけ体を起こす。途端に申し訳なさそうに震えた甲高い声と、少し遅れてリアリティのない現実が独歩の視界に飛び込んでくる、



「すっ……すすすすすみませんすみません!あああバレちゃった……私がダメだから……私のせいか…… 」

「……は?」



そこにはたしかに、ギラギラ光るナイフと自分に跨る涙目の幼女がいた。

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夢花 (仮垢) - え、これからどーなるんやろ‥ (2019年2月8日 3時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 十弧さん» ありがとうございます。多分これ途中で消します()。リジーちゃん性格とかは同じですけどシチュエーションが全然違いますね。また書く書く詐欺をしてしまったこと、お詫び申し上げます。 (2019年2月7日 16時) (レス) id: 6e4265016c (このIDを非表示/違反報告)
十弧(プロフ) - 新作おめでとう御座います。可愛い可愛い(知ってた)リジーちゃんが読めて幸せな事この上ないです。また機会があればイラスト等々描かせて頂きますね!これからも応援していますので、どうかご無理はなさらずご自分のペースで頑張って下さい! (2019年2月7日 16時) (レス) id: f05eea04c6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 姫歌さん» ありがとう!ヒプマイいいぞ〜!知れば知るほど沼が深い笑笑。頑張るね! (2019年2月7日 9時) (レス) id: 6e4265016c (このIDを非表示/違反報告)
姫歌(プロフ) - いっちゃん、新作おめでとう!ヒプマイ少ししか知らないけど、楽しみにしてます! (2019年2月7日 8時) (レス) id: d8a4d97043 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年2月7日 1時

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