検索窓
今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:8,103 hit

バング道場編2 中編2 ページ26

流水岩砕拳を打ち出した直後、

「…!」

彼女も同じ技で返そうとしていたが、
その手数の多さでは此方が勝っていた。

それを一目で判断したのだろう。
彼女は一瞬で構えを変えると…

「フンっ!」

純粋な一撃の拳を仕掛けてきた。

(手数の多さか、純粋な力技か…
まだまだ未熟かのぉ。)

そう思いながら
受け止めようと思ったが、

「むっ!」

見た目に反してかなり強い力が入ったのを感じ、
流水岩砕拳で咄嗟にその力を丸ごと下へと受け流す。

途端にメキメキッと音を立てて
道場の床板はひび割れた。

「あちゃぁ…やっちゃったのう。」

「あっ…す、すいません、つい。
床が…修理しないと。」

先程までの戦闘時の気配が一気に消え去り
どうしようと慌てふためく彼女。

(あの力は…)

純粋な力技。

流水岩砕拳は水のように受け流す形を
得意とする技だが、
一度に受け流す力にも勿論、限界がある。

先程の力は自分で受け流せるか?怪しいほどに
強い一撃必殺のような攻撃だった。
きっと体中の全ての力を一点集中で放つ技。

流水岩砕拳にはないものだ。

「A、」

「は、はい?」

「今の攻撃、
わしは初めて見たのう。

流水岩砕拳にはない動きじゃ。」

「…これは、その…
ボロスから教えて貰ったんです。」

「ボロス?
よく怪人の話で聞く名じゃが、
確かAの知人かの?」

「そうです!
一時期、一緒に旅してたんですけど、
彼にもしもの時は動けるようにしておけって…

それで色々…」

何を思い出しているのか
ぶるっと身震いした。

「あんまり思い出したくないですね…はい。」

その時、
突然、無機質な携帯電話の音が道場に響いた。

「…あ、すいません。師匠。」

そう丁寧に断りを入れてから
彼女が携帯を開くと…

「林さんだ。」

そう呟いて体を硬らせる。
そして申し訳なさそうな表情をしながら
画面をパタンと閉じたのだ。

「?」

電話を無視するのは彼女らしくない。

「どうしたんじゃ?でんのか?」

「う、」

とても言いづらそうに
頬をかく仕草をする。

「…林さんはお客さんなんですけど…
一度だけ正体を見られてしまって…、」

「それがどうしたんじゃ?」

「その時にかなり怖がらせてしまったんです。
だからあまり…」

俯き、自身の顔に影を落としながら
ポツポツと小さな声で彼女は言った。

「会いたくないんです。」

バング道場編2 後編→←バング道場編2 中編



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
63人がお気に入り
設定タグ:ワンパンマン , 転生
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

hiiragi(プロフ) - 更新、いつまでも待ってます😭🫶 (10月14日 3時) (レス) id: 17fc942396 (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - ワンパンマンは今も大好きです、また熱が戻って来た時、見直しを兼ねて書き足していこうと考えている所存です。その時にまたどうぞよろしくお願いいたします。そして読者の方々には重ね重ねお詫び申し上げます。 (2022年5月16日 16時) (レス) id: 4417e7e43c (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - ゆゆゆさん» ゆゆゆさん、続きに期待して下さり本当にありがとうございます。この件ですが、ストックは底をつき、新たな話を作ろうにも作者の乏しい記憶力を鑑みると設定崩壊してしまうと考えており続ける事が難しいと見ています。折角の期待に応える事が出来ず、申し訳ありません… (2022年5月16日 16時) (レス) @page35 id: 4417e7e43c (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ - 面白いので続きを期待して待ってます!! (2022年5月16日 14時) (レス) @page35 id: 078838462a (このIDを非表示/違反報告)
おぼろん(プロフ) - リンさん» いえいえ、とんでもないです。お話を読んでいただけて、そしてコメントも…作者として本当に嬉しいです!ありがとうございます! (2022年3月8日 9時) (レス) id: b140951648 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:おぼろん | 作成日時:2021年11月20日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。