隕石3 後編 ページ27
投稿し忘れていた話を入れました。すいません。2021/10/19
「私、普通に地球で
平穏に過ごしたいだけなんです。
…あの…お願いですから、
通報とかしないで下さい。」
「…、」
わしが答えない間に
彼女は罰が悪そうな表情をしながら
だらだらと冷や汗を流す。
「私、見た目はなかなか
ゴツいかもしれないんですけど、
でっ、でも心の中は人なんですよ…
だから、お願いします。
せめて通報は…」
あの見た目や雰囲気からして
かなりの「生物」だと想像出来るのに
何故か彼女は力技を執行しようとはせず、
こうしてなんとか穏便に済ませようとしている。
(不思議じゃ…
何故だがとても面白い。)
「あのぉ…バングさん?
おねが、」
「わかった、
通報はせんよ。」
「本当ですかっ?!」
「あぁ、二言はない。」
ホッと彼女は硬らせていた肩の力を抜いた。
「た、すかります。」
そんな彼女は本当に「人間」のようで、
ワシは今まで以上に興味を持つ。
「じゃが…一つ条件があるんじゃ。」
「うわぁ…そう来たかぁ。
そのやり方は断れないじゃないですか。
汚いですよ、バングさん。」
嫌そうに顔を歪める彼女、
さっきの姿を見ていなかったら
まごう事なき「人間」だとわしは信じていただろう。
此処までの人間らしさを持つ「生物」わしは生きていたこの方、見た事がなかった。
だから、もっと面白くなりそうな提案を
出してみたんじゃ。
「わしの弟子になってみんか?」
(ボロス視点)
「…!」
地球から遠い宇宙の果てで
「彼」はその懐かしい感覚を微かに感じ、
長い間、閉じていたその単眼をゆっくりと開く。
しかし次の瞬間、
それは少しばかり歪められ、
異様な緑の光を放った。
「…使ったな、あの力を。
この俺以外に。」
苛立ちを含んだその声が
遥か遠くにいる彼女に届くことはない。
「A…」
バキッと鈍い音を立てて
彼の玉座にヒビが入った。
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作者名:おぼろん | 作成日時:2021年9月16日 22時