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コンビニの外に出ると店内の明かりを頼りに
アイスの袋を開けて器用にパキッと割った片方を
無言で差し出してくれた廉。
「 いいの？ 」
「 Aと食べるために買ったんやで。
食べてくれな俺が困る 」
自分の分のアイスの先を外して本体を吸い始めるから
スイーツの入った袋を手首にかけて
慌てて差し出されたアイスを受け取り口にする。
夜に食べるアイスは身体の芯まで冷やしていった。
コンビニを離れ、家に帰るまでの道のりを
アイス片手に歩き始める。
「 こういうことするの初めて 」
「 夜道歩くこと？ 」
「 それもだしアイス分けて食べるのも
夜に男子とコンビニに行くことも 」
「 海人とやったことないんや 」
「 無いよ 」
遊園地に行ったりカフェに行ったり
デートの定番みたいなことは何度もしたけど
俺と一緒でも夜は危ないからと言う理由で
一度も夜に出歩いたことは無かった。
「 だから今めちゃくちゃドキドキしてる 」
「 怖いから？ 」
「 ううん、
私を見たことない世界に連れて行ってくれるから 」
アイスは半分まで無くなった。
輪郭はボヤけているけど廉もきっとそれくらい。
「 A 」
「 ん？ 」
「 裸眼で俺のこと見るん禁止な 」
「 え、急に？なんで？ 」
「 禁止言うたら禁止 」
禁止なのか近視なのか同音異義語は難しい。
住宅街に幼い子供のような「 なんで？ 」が響いた。
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作者名：いと | 作成日時：2020年10月13日 18時
