鬼隠し編−成功− ページ29
｢てとら、かわいそうですね……ぼくがやってみますよ〜｣
｢ほ、ほんとッスか！恩に着るッス〜！｣
深海先輩が、万を持したように守沢先輩からコルク銃を受け取り、やんわりと構える。
なんだか、違和感ある。深海先輩に銃ってめちゃくちゃ似合わない。
｢あー……はずしましたね｣
そして撃ち込んだ一発は、的に当たりはしたものの、景品の獲得には至らなかった。
｢ああー……惜しかったでござるね｣
｢協力感謝するッス、今回は諦めるッス……｣
熊一つで、鉄虎くんはくるくると表情を変える。
｢…………俺がやるよ｣
仕方ない。
そう思い声をかけると、皆が意外そうな顔で俺を見つめた。
｢……な、何？｣
｢翠くんが、珍しいでござるなあ｣
｢何が……｣
｢みどりは、いつも『ひきょうりょくてき』ですから〜｣
まあ、確かにそれはそうだけど。
射的は結構得意だし、残念そうな鉄虎くんを放っておくこともできない。
ゴミ山での守沢先輩と言い、俺は確かに案外人を放っておけないタイプのようだ。
……そういえば先輩、あのアクションフィギュア手に入れられたのかな……。
｢じゃあ次は兄ちゃんかな？｣
｢あ、はい……｣
本人に尋ねようとも思ったけど、店主さんに声をかけられたので断念し、そのまま百円を手渡す。
銃をもらって構えれば、何故か感嘆の声が周りから聞こえた。
｢様になってるッスね！｣
｢良いぞ、高峯！｣
｢……あんま見ないでください、照れるんで……｣
きっちりと照準を熊に合わせ、神経を研ぎ澄ます。
周りの視線は鬱だけど、大丈夫……全てを遮断すれば。
……。
｢あ……倒れたでござる……｣
自分でも一瞬で、そして呆気ないものだと感じた。
熊は軽々と倒れ、店主が驚いたようにそれを手に取った。
｢お、おめでとう……すごいな、坊主！｣
｢どうも……はい、鉄虎くん｣
｢翠くん……ありがとうッス！！｣
鉄虎くんは一生の恩でも受けたみたいに目を輝かせ、嬉しそうに何度も頭を下げた。
｢どういたしまして……俺もこんなすぐ取れるとは思わなかった……♪｣
｢万々歳だな！皆、今日の優勝は高峯で異論はないだろう！｣
｢かっこよかったですよ、みどり……♪｣
｢さすがでござる、高峯殿！｣
こうして褒められるのも、悪くない。
自分の胴体ほどもある熊を抱きしめながら、鉄虎くんはもう一度お礼の言葉を述べた。
我ながらでかいぬいぐるみが取れたなあ……。
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ryo(プロフ) - あつこさん» コメントありがとうございます、返信遅くなりすみません。楽しみにしていると言っていただき嬉しいです、とても励みになりました；＿；これからもよろしくお願いしますm(*_ _)m (2017年1月21日 15時) (
レス) id: 4ff49e5c85 (このIDを非表示/違反報告)
ryo(プロフ) - 猫好き野郎さん» コメントありがとうございます、遅くなりすみません。多忙のため長らく更新できなかったことも重ねてお詫びします。少しずつですが更新を再開しようと思いますので、また読んでくださると嬉しいです。面白いと言っていただき嬉しいです；＿； (2017年1月21日 15時) (レス) id: 4ff49e5c85 (このIDを非表示/違反報告)
あつこ(プロフ) - 更新楽しみにしてます (2017年1月4日 20時) (レス) id: 15bb1e6fa9 (このIDを非表示/違反報告)
猫好き野郎(プロフ) - あの、質問(?)なのですが、 続きって書くんですか…? 流星隊･ひぐらしが好きだし面白いので 最後まで見てみたいなと思うのです。 教えて下さいませんかね…? すみませんm(. . )m (2016年9月5日 20時) (レス) id: 0592150d1f (このIDを非表示/違反報告)
ryo(プロフ) - Leiaさん» コメありがとうございます、面白いと思っていただき嬉しいです！調べてみたところ、すでにとても素敵な動画があったようですね！ですがこの小説とは関係ないです……勘違いさせてしまいすみません。意図していた訳ではないのでぜひ別物として読んでください^^; (2016年7月31日 13時) (レス) id: 4ff49e5c85 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ryo | 作成日時：2016年7月18日 2時
