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現在編25−双頭の鷲の和解― ページ33

「ここを出たら、私は処刑されるだろう。そうでなくとも、もはや生きる資格すら―――」
「いいえ、貴方はここで死んではいけない」

ホメロスの慚愧の言葉を気高く凛とした声で遮ったのは、マルティナだった。

「ホメロス、貴方のしてきた事は確かに許される事じゃないわ。でもだからこそ、貴方は生きて償わなければならない」

目を見開くホメロスに、マルティナは続けた。

「魔に屈してしまった弱さはあるけれど、本来の貴方は誇り高いデルカダールの騎士。私もそれは分かっていたつもり。最終的に処罰を決めるのはお父様だけれど、それはウルノーガを倒してからよ。今貴方が国の裏切り者として処刑されてしまったら」

そこまで言って、今度はAを見る。

「Aが裏切り者の弟子として、汚名を着せられる事になるのよ。それに・・・」

再びホメロスに向き直り、マルティナは言った。

「親友が悲しむのを見過ごすわけに行かないわ」
「ちょっ、マルティナっ!」

思わず声が上ずるAに悪戯っぽい笑みを向ける。

「あら、違うの?」

聞かれて答えに詰まるA。
あたふたするAを見てくすくす笑うと、表情を引き締めて言った。

「時間がないわ。―――ロウ様」

マルティナの呼びかけに頷くロウ。

「恐らくウルノーガは、ホメロス、お主の口を封じ損ねて内心焦っておるはずじゃ。更にワシらの姿もないとなればワシらが通じておる事を疑うじゃろう。すぐに他の仲間と合流し、手筈を整えねばならん。それには・・・」

ロウはホメロスと真っすぐ向き合い、言い聞かせる様に言った。

「お主の知略が必要なのじゃ。力を貸してくれるな?」

ロウの眼差しは優しく、今のホメロスに全幅の信頼を寄せていることが伺える。
ホメロスは今にも泣き出しそうな表情だったがどうにか堪え、姿勢を正してロウに敬礼した。

「・・・勿体ないお言葉でございます、ロウ様」
「・・・ホメロス、お前が今までの償いをすると言うなら、俺もそうしよう」

今まで黙っていたグレイグが、ホメロスの傍らで膝をついた。

「王への忠誠を重んじるあまり、王の異変に気付く事ができず、危うく取り返しのつかぬ事をするところだった。Aにも怒鳴られてな」

グレイグの言葉に、マルティナを斬ろうとしたと聞かされ、激情した事をAは思い出す。
だが自分も、異変に気付きながら何の行動も直前まで起こせなかった以上、グレイグを責める事はできなかった。

現在編26−誓い―→←現在編24−軍師の慚愧―



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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました!またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです!頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます!更新頑張ってください! (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠山すずか | 作成日時:2018年4月26日 18時

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