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現在編26−誓い― ページ34

頭を上げたばかりのホメロスの横に、くせのない髪が揺れるのをAは見た。

「ホメロス将軍、僕も正直、貴方がした事は許せるとは言えません。でも、それでも・・・!僕も貴方に生きてほしい」

そうして差し出された手を、ホメロスはしばらく見つめ、やがてゆっくりと己の手を重ねた。
魔から放たれ、双頭の鷲が再び揃った。そして、勇者とホメロスが心から手を取り合った。

嬉しさのあまり涙が溢れそうになるのを堪え、Aは姿勢を正し、イレブンの元に膝を着いた。

「勇者イレブン、魔にたばかられたとは言え、貴方に悪魔の子などと言う汚名を着せました事、誠に申し訳ありませんでした。今後は貴方の力となり、魔を撃ち払うに全力を尽くします事を、お許しいただけますでしょうか」

女戦士に頭を深々と下げられ、戸惑うイレブン。
だがすぐに微笑み、Aに目線を合わせて手を差し出した。
Aもその手を取る。

「よろしくお願いします、Aさん」



A達は素早く牢を抜け出した。

一行の後を着いていきながら、傍らにいるホメロスに話しかける。

「ホメロス、突然でムリヤリなのは嫌だったけれど・・・私、抱かれた事自体は嫌ではなかったのよ」
「・・・!」

僅かに期待する様な眼差しにいたたまれなくなりながらも、Aは続けた。

「今私に言えるのはそれだけ。貴方の気持ちには・・・まだ、答えられない」

まだ、を強調する辺り、本当は答えが出ているのではないか、とAは心の中で自分に指摘した。
牢で過ごした中で色々な情報が一度に殺到した。ひとまず気持ちの整理をしたい。
そう、言い訳を自分に返す。

Aのそんな葛藤を知ってか知らずか、ホメロスは馴染みの皮肉な笑みを口元に浮かべ、Aに顔を寄せた。

「ならばウルノーガを倒した暁に、答えを聞かせてもらおうか」

そう不敵に笑う顔は、腹立たしいほどに美しかった。

現在編27−決戦に向けて―→←現在編25−双頭の鷲の和解―



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遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、最後まで読んでいただきありがとうございました!またお気遣いのお言葉も、本当に嬉しく思います。短編の方も頑張って更新していきますので、またよろしくお願いいたします。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 完結おめでとうございます!お体を優先に気長に短編お待ちしております。本当に大好きな作品でした。 (2018年5月25日 16時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)
遠山すずか(プロフ) - りぃんさん» りぃん様、コメントありがとうございます。ホメロスへの救い欲しさが募り、この連載の執筆に至りました。楽しみにして頂いているとの事、とても嬉しいです!頑張って更新していきたいと思います。これからもよろしくお願いします。 (2018年5月14日 10時) (レス) id: 1a8ae502d9 (このIDを非表示/違反報告)
りぃん(プロフ) - 初コメ失礼します。この小説とても楽しみに読ませて頂いてます!更新頑張ってください! (2018年5月14日 10時) (レス) id: 7ca0ccb51c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:遠山すずか | 作成日時:2018年4月26日 18時

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