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Juri Side
「なに飲む?」
「んー、オレンジジュース。」
「ふはっ、まだまだ子供だな。」
あの事件から7年。
北斗は高校生になった。
「樹だって、コーヒーに砂糖、大量に入れてんじゃん。」
「うっせ、黙って飲め。」
俺がこいつを引き取ったあの頃は、心を閉ざして口も聞いてくれなかった。
まぁ、無理もない。
父親を殺され、その罪をなすりつけられたんだ。
幸い、大人の男の犯行である証拠が次々と見つかったために、
まだ小学生だった北斗の疑いは晴れた。
が、犯人はまだ捕まっていない。
あの時、刑事になったばかりだった俺はすぐに犯人を追えなかった。
後悔しきれないほど、後悔した。
自分を恨んだ。
だから、絶対にこの手で捕まえるんだ。
「ねぇ、顔怖いよ?」
「え? あぁ、悪い。」
「もう、7年も経つんだね…」
オレンジジュースを見つめ、
ストローで混ぜカランカランと音を立てる。
「あー…、そうだな。」
北斗からこの話題を持ってくることは、初めてかもしれない。
驚きと動揺で、歯切れの悪い返事をしてしまった。
「ねぇ、あの時さ……、いや、やっぱいいや。」
「んだよ、気になんじゃねぇか。」
「うん、そう…だよね。 え、と…」
北斗が言い出しにくそうに、喋り始めたとき。
「あー! やっぱりここにいた!」
黒「あ、優吾くん。 こんにちは。」
青「おぅ、なにしてんの?」
黄「なにしてんのって、お前らとおんなじだよ。
墓参り、行って来たんでしょ?」
青「あたりめぇだろ?」
黄「すんごい花、溢れてたよ。」
黒「…、父さん、愛されてんな。」
青「京本は、俺らのアイドルだったからな笑」
結局、北斗がなにを言おうとしたのか分からなかった。
3人で思い出話しに花を咲かせ、帰る頃にはすっかり忘れていた。
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作者名:こあら | 作成日時:2022年9月24日 22時