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黄「じゃ、俺捜査立て込んでるから戻るわ〜」
黒「うん、じゃあまた…」
バイバーイ!と元気よく手をふる高地とは対照的に、
控えめに手を振った北斗。
黒「樹は、行かなくていいの?」
「ん? あぁ、あの件には関わってねぇからな。」
黒「そっか…じゃ、今日は夜も家にいるの?」
「おん、なーに、嬉しいの?」
黒「そんなんじゃ、ねぇよ、、」
ぶすっとした表情でそっぽ向いた割には、
耳まで真っ赤にしちゃって。
最近忙しかったから、こうやってちゃんと会話すんのも久しぶりかも。
寂しい思いさせてんのは分かってんだけど。
男同士、一緒に過ごす時間を作るってのもなんか照れ臭くて。
それこそ昔は、一緒に風呂入ったり動物園なんかに出かけたり、
父親代わりになれるようにと多くの時間を一緒に過ごした。
「夜、何食う?」
黒「なんでも。」
「そ、じゃ楽だし素麺で。」
黒「ね、昨日も素麺よ?」
「あれ、そうだっけか。」
黒「あんたが準備していったんでしょうが…」
「あーはいはい、じゃあ家で焼肉でもすっか?」
黒「…何それ、いいじゃん。」
さっきまでちょっと後ろをついて歩いてきてたくせに、
急に目をキラキラさせて小走りで隣に来るもんだから頬が緩む。
「スーパー寄るぞ〜、荷物持ち手伝えよ。」
黒「え〜、重いのやだよ?」
なんて言ってヘラヘラする北斗に、
なんだかんだ幸せな日々過ごしてんなって。
父親を亡くした北斗に、
まだ犯人を捕まえられていない俺がこんなこと、絶対言えねぇけど。
きっと、少し大人になった彼には、悲しいとか寂しいとか、
そんな単純な感情だけでは片付けられないものを抱えてるんだろう。
黒「樹? なんか今日、考え事多くない?」
「あー、そう?」
黒「うん、なんかあったの?」
「いいや、なんもねぇよ。」
黒「ふーん、なら早く行こうよ。」
今日くらい一旦考えるのやめて、いい肉でも食うか。笑
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作者名:こあら | 作成日時:2022年9月24日 22時